注文住宅の流れとは?土地ありと土地なしの場合にかかる期間も解説

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注文住宅の流れとは?土地ありと土地なしの場合にかかる期間も解説

念願のマイホームを建築する際、自由設計でこだわりを詰め込んだ注文住宅にしたいと考える方もいるでしょう。注文住宅を建てる場合は、家を建てるまでの流れとやらなくてはいけないことを把握し、どれくらいの期間が必要になるか知っておくことも大切です。

今回の記事では、注文住宅の流れを解説するとともに、土地ありの場合と土地なしの場合でかかる期間の目安もご紹介します。

注文住宅の契約から引渡しまでかかる期間はどれくらい?

施工会社・建築会社などに注文住宅の依頼・契約をしてから引渡しまでにかかる期間は、所有している土地の有無で異なります。

まずは、土地あり・土地なしでかかる期間の目安についてご紹介しましょう。

土地ありの場合

土地を所有している場合、建築完了希望日の約1年半〜1年前から家づくりの計画をスタートさせましょう。現在生活している家を建て直す場合、解体工事や地質調査、土地改良などにも時間がかかるため、時間的に余裕のあるスケジュールを組んでおくと安心です。地質調査・土地改良などに問題がない土地を譲り受けた場合は、すぐにローンの審査を受けたり業者を選んだりできるため、早ければ約1年〜10か月前からのスタートでも間に合います。

土地なしの場合

土地を所有していない場合、まずは土地探しから始める必要があります。土地探しは、建築完了希望日の約1年半前から計画しておきましょう。早めに計画をスタートさせないと、希望どおりの土地を見付けられず時間がかかってしまう場合もあるためです。日頃から不動産情報サイトで土地の情報収集をしておくと、希望する土地が早く見つかる可能性もあります。

注文住宅の流れを契約から引渡しまで順に解説!

注文住宅の計画を立ててから竣工・引渡しがされるまで、大まかに8つのステップがあります。それぞれの過程では何をすべきなのか、順番に解説していきましょう。ステップは以下のとおりです。

STEP1 建築にかける総予算を検討する
STEP2 具体的な間取りや家具のイメージを固める
STEP3 土地/ハウスメーカー/工務店を探す
STEP4 参考見積もりを取得して予算と比較する
STEP5 工事請負契約を締結する
STEP6 より具体的な建築プランの打ち合わせをして詳細を決める
STEP7 建築工事着工
STEP8 竣工~引き渡し

STEP1:建築にかける総予算を検討する

建築のプランニングを行う前に、まずは予算を算出します。予算の算出を疎かにしたり間違えたりすると、住宅ローンの資金繰りや返済で生活が苦しくなる恐れもあるため注意が必要です。予算を検討する際は、まず自己資金でどれくらい出せるのか、住宅ローンの借入額はどれほどなのかを算出してください。平均予算額をもとにした配分は、土地がある場合とない場合で異なります。

たとえば、土地がある場合は土地購入に予算を割かなくてもよいため、予算の約8割を建築費用に充てられるでしょう。残りの約2割は登記や保険、税金などの諸費用に充てることになります。

土地がない場合、建設費の他に土地代も考慮しなければなりません。土地代込みの費用は首都圏とそれ以外の地域で大きく差があります。住宅金融支援機構の「2021年度フラット35利用者調査」にて土地付注文住宅の建設費と土地取得費の割合を地域別に見ると、以下のとおりです。

地域 建設費 土地取得費
首都圏 2,911.7万円 2,220.9万円
近畿圏 2,965.4万円 1,693.1万円
東海圏 3,104.9万円 1,274.3万円
その他地域 3,068.1万円 912.3万円

参考:2021年度 フラット35利用者調査

首都圏の場合、土地取得費に約2,200万円もの金額がかかっています。対して近畿圏では約1,700万円、東海圏では1,200万円、その他地域では約900万円です。建設費はどの地域も約3,000万円ですが、首都圏以外の地域は土地取得費が安い分、総予算を抑えられます。

STEP2:具体的な間取りや家具のイメージを固める

資金計画を立てたら、次はどのような家を建てたいのかを決めていきます。ここで決めておきたいのは、間取りや家具、外観デザイン、その他の希望条件です。ハウスメーカーや工務店へ相談する前に家族で話し合っておくと、打ち合わせもスムーズになります。とくに要望やこだわりがない、家の具体的なイメージづくりができないときは、現状の不満点を参考に考えてみましょう。

たとえば、現在の自宅で収納スペースが足りないと感じているなら、注文住宅ではウォークインクローゼットやパントリー、壁面収納を増やせないか検討してみてください。

また、外観や内装・インテリアのイメージをより具体的なものにしたい場合は、ハウスメーカーや工務店の施工事例を参考にしたり、モデルハウスの見学に訪れたりするのもおすすめです。

STEP3:土地/ハウスメーカー/工務店を探す

建てたい家のイメージや希望条件を出した後は、候補となるハウスメーカーや工務店探しを始めます。理想的な家をつくるためにも、自身との相性がよい業者選びが大切です。各社で強みも異なるため比較しつつ、相談する業者を絞り込みリストアップしていきます。ハウスメーカーや工務店を探す際にモデルハウスを参考にするのもよいですが、説明を受けたり質問したりしているうちに時間はあっという間に過ぎてしまうものです。

そこで、自宅でゆっくりと手軽にモデルハウス見学をしたい方は、バーチャル住宅展示場「LIVRA WORLD」を活用してみましょう。「LIVRA WORLD」ならモデルハウスを自在にカスタマイズし、家族のライフスタイルに合った理想のマイホームを探せます。また、会社選びと並行して行いたいのは、土地探しです。土地を先に購入してしまうと、家の建築費用と土地代の予算配分がアンバランスになる可能性もあるため、同時に探すのがよいでしょう。

STEP4:参考見積もりを取得して予算と比較する

ハウスメーカーや工務店を数社に絞り込んだら、各社と打ち合わせを行い、簡単な間取り図と参考見積もりを出してもらいます。打ち合わせではSTEP1・2で決めておいた予算や希望条件、土地情報などを伝えましょう。打ち合わせ内容をもとに、各社は参考見積もりと間取り図のプラン作成を行い、提示してくれるのです。間取り図や参考見積もりなどの資料が出揃ったら比較をしていきます。

ここで注意したいのが、費用だけで比較することです。各社で見積もりの項目に違いがみられるため、諸経費などが含まれていない場合も考えられます。

したがって、見積もりで出た合計金額だけで業者を比較して依頼をしても、あとで追加料金を請求されてしまうケースも起こり得るでしょう。そのようなケースを避けるためにも、費用だけでなく施工費の内訳やアフターサービス、保証制度なども考慮しながら比較してください。

STEP5:工事請負契約を締結する

参考見積もりや間取り図を比較し、依頼するハウスメーカー・工務店が確定したら工事請負契約を締結させます。契約後の変更によって追加費用が発生しないよう、きちんと契約内容を見て確認することが大切です。

なお、多くのハウスメーカーや工務店では工事請負契約の前に仮契約を行い、数万円〜十数万円ほどの申し込み金を支払います。仮契約をしていてもキャンセルは可能ですが、本契約となる工事請負契約だとキャンセル時に手付金などが発生するため、業者選びは慎重に行いましょう。

STEP6:より具体的な建築プランの打ち合わせをして詳細を決める

工事請負契約後はより具体的な建築プランの打ち合わせを行い、詳細まで決定していきます。間取りプランや住宅設備の性能、使用する建材、建具、内装・外装のデザインなど、細かい部分まで担当者と打ち合わせをして決めましょう。

また、着工前に地盤調査の実施や住宅ローンの事前審査、市区町村へ建築確認の申請なども行います。建築確認とは、これから建てる家がきちんと建築基準法などの法令に適合されるのか確認するための申請です。住宅ローンの事前審査と建築確認の申請が通った後に、借入先の金融機関と住宅ローン契約を結びます。

STEP7:建築工事着工

新築工事が着工する前に、近隣の方へ挨拶まわりをしておきましょう。工事が始まると騒音や通行止めなどの影響で、近隣の方に迷惑をかけてしまう場合もあります。タオルや洗剤などを持参し、挨拶をしておくことで今後の良好なご近所付き合いにつながるでしょう。

また、着工前の安全祈願に地鎮祭を執り行うケースもあります。これは施主の希望で行う・行わないを選べるため、必要ないと感じれば担当者に不要であることを伝えましょう。

STEP8:竣工〜引き渡し

建物が完成したら自治体の建築確認申請にもとづいた完了検査を実施し、問題がなければ検査済証を発行してもらえます。

また、設計図のとおりに建てられているか、住まいをまわって竣工検査を行いましょう。このときに傷や汚れが気になる箇所やドアがスムーズに開かないなどの不具合が見つかれば、すぐに伝えて直してもらうことが大切です。万が一引渡し後に修繕を依頼すると、追加で工事費用を請求される可能性もあります。

とくに気になる箇所もなければ引渡しです。不動産登記や保証に関する説明を受け、入居が可能になれば引っ越しをして新居での暮らしがスタートします。

注文住宅の総額費用と支払いスケジュールについて

注文住宅では、一般的に建築費用を3〜4回に分けて支払うものです。ここでは、注文住宅の総額費用と支払いスケジュールについて解説します。

注文住宅の支払い内訳を期間別に解説

注文住宅で料金を支払うタイミングと内訳は以下のとおりです。

  • 工事請負契約……工事費用の約1割
  • 着工時……工事費用の約3割
  • 着工後(上棟時)……工事費用の約3割
  • 竣工時……工事費用の約3割

さらに、仮契約時で数万円〜十数万円ほどの申し込み金も必要です。竣工時の費用は住宅ローンを利用できますが、着工時・着工後の段階でかかる費用はつなぎ融資を利用することになります。つなぎ融資は他にも、土地代の支払いや住み替え時に旧自宅が売れるまでの費用として利用も可能です。

注文住宅の総額費用の内訳について

注文住宅にかかる費用の内訳は、主に本体工事費、その他工事費、諸費用の3種類に大きく分けられます。

本体工事費

本体工事費は建物本体の建築にかかる費用で、予算の大部分を占めることになります。金額は1,500万円〜3,500万円ほどです。本体工事費をさらに細かく見ていくと、仮設工事、基礎部分、躯体、屋根、内装、仕上げ、設備にかかる費用が含まれます。

その他工事費(付帯工事費)

建物本体以外にかかる工事費が含まれます。工事ごとに発生する金額は異なるものの、その中でも必ず発生するのが屋外給排水工事です。水道メーターから建物までの給排水工事や、雨を排水するための工事を指します。

他にも外構工事費や地盤改良工事費、解体費などもその他工事費に該当するため、どの工事が必要となるのか事前に確認しておきましょう。 

諸費用

建築以外の諸費用は、一般的には建築費用の総額の約1割ほどです。そのため、総額4,000万円の場合、諸費用は400万円ほどとなります。主に税金(印紙税や登録免許税)、登記費用、建築確認申請費用、水道負担金、設計料、地鎮祭・上棟式の費用、住宅ローンの手数料や保証料、火災保険料、家具・家電、引っ越し代などが含まれます。参考見積もりの中には諸費用が含まれていない場合もあるため、費用項目などは必ず確認してください。

意外と忘れがちな費用に注意

費用で忘れがちなのは、諸費用に該当する税金や火災保険・地震保険、登記費用です。

たとえば印紙税は、工事請負契約書などの契約書に対して課税されるもので、記載されている金額によって変わります。1,000万円以上5,000万円以下だった場合は2万円(2024年3月31日まで軽減措置により1万円)です。

また、古い建物を取り壊してからそこに注文住宅を建てる場合の解体費も、忘れがちな費用です。解体費用も建物の大きさや建築基準法によって異なるものの、30坪前後で約100万円〜200万円かかります。

さらに、庭の木や垣根、ブロックなどを撤去する場合も追加費用が発生するため注意してください。

注文住宅の家を建てるときのポイントや注意点をまとめて解説!

理想の注文住宅を実現させるには、事前に押さえておきたいポイントや注意点を念頭に置きつつ計画を進めることが大切です。ここでは、そんなポイント・注意点をまとめて解説します。

土地なしの場合は土地の相場も把握しておこう

土地なしだとハウスメーカーや工務店探しと並行して土地選びも行う必要がありますが、このときに土地の相場も把握しておきましょう。周辺エリアの相場がわかると土地の価格が妥当か判断しやすくなり、予算内で希望の広さや条件に合った土地を購入できるかがわかります。相場が高ければ他のエリアを探すか、もしくは土地の相場にあわせて予算を変更するかを検討できるため、無理のない資金計画につながりやすいです。

ハウスメーカーや工務店は相見積もりを取得してさまざまな観点から検討しよう

複数のハウスメーカーや工務店を絞り込み、相見積もりを取得して比較します。比較する際は各社をさまざまな観点で見比べたうえでの検討が重要です。

たとえば理想の新築一戸建てに長く住み続けられるよう、品質や技術力に優れているかを知るため工務店の施工事例をチェックします。

他にも、希望やこだわりを盛り込んだ施工プランを提案してくれるか、保証・アフターサービスがあるか、長持ちする建材を使用しているか、担当者との相性はよいか、などもチェックすべきポイントです。

バーチャル住宅展示場の「LIVRA WORLD」では、優良ハウスメーカーの費用相場をシミュレーションし、簡単に見積もりの作成が可能です。家の基礎や構造、工法、建材、設備、建具など詳細な仕様も把握でき、各社の比較にも役立ちます。注文住宅を建てたい方は、ぜひ「LIVRA WORLD」を活用してみてください。

土地ありの場合も想定外を考慮して早めに動き出す

土地を所有していると土地探しをしなくてもよいことから「そんなに急がなくてもいい」と感じてしまうかもしれません。

しかし、土地ありの場合でも想定外の事態が発生する可能性があります。

たとえば台風や地震などの自然災害で、工事が予定どおりに進まなくなる場合もあるでしょう。こうした想定外をあらかじめ考慮しつつ、やるべきことを整理しておくことでスケジュールの問題も回避できます。

本契約前に仕様や補償を確認しておく

本契約を結んでしまうと、キャンセルをしたくても手付金などの発生により、あとに引けなくなってしまう可能性もあります。

そのため、本契約前には仕様や補償内容をあらためてチェックすることが大事です。とくに確認すべきポイントは以下の6つになります。

  • 施工スケジュール
  • 費用の支払い時期と金額
  • キャンセルした場合の手付金や違約金
  • 保証内容やアフターサービス
  • 工期が遅れてしまった場合の対応
  • 契約不適合責任に関する記載

また、本契約前の打ち合わせで口頭のみの確認や変更などがあった場合、本契約できちんと反映されているかチェックしておくことも大切です。口頭のみになってしまうと、あとから言った・言わないのトラブルに発展し、後悔につながる恐れもあります。

土地ありの場合も法的な要求事項を確認しておく

土地ありで注文住宅を建てる場合、その土地で本当に家を建てられるか確認しておきましょう。都市建築法によって建物の用途が地域ごとに混在しないよう、用途地域が決められています。主に住居系・商業系・工業系の3つに分けられ、住居系でないと家を建てられない可能性もあるので注意してください。所有する土地の区分を知りたい場合は、用途地域マップを活用しましょう。

また、親や親族の敷地に家を建てる場合でも税金が発生する可能性があります。

たとえば無償で親の土地を使い、家を建てる場合、すぐに税金がかかることはありませんが、相続時に相続税を支払わなくてはいけません。存命のうちに無償または安く譲り受けた場合も贈与税が発生します。

ローン以外の費用も計算してファイナンシャルプランナーに相談しておく

住宅ローンは数十年という長期にわたって返済するパターンもあることから、今後の生活に大きな影響を与えてくる存在です。予算を決めるときに住宅ローンの返済額も考慮して算出する必要がありますが、それ以外にもこれからのライフイベントで必要となるお金も算出しましょう。将来の生活にも関わるお金の計算は自分ひとりでも行えますが、ファイナンシャルプランナーに相談するのもおすすめです。ファイナンシャルプランナーに相談することで第三者の視点からアドバイスをもらえたり、精神的な不安の解消ができたりします。

まとめ

今回は注文住宅を建てる際の流れと費用について、押さえるべきポイント・注意点を解説しました。自由度の高い注文住宅を建てる場合、一般的には約1年〜1年半はかかります。想定外の事態が発生する場合もありますが、初めから考慮した上で準備を進めておくとスケジュールにも余裕を持たせられるでしょう。

ぜひ今回ご紹介した流れを参考にしつつ、住宅購入の計画を立ててみてください。



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