ローコスト住宅はなぜ安い?コストを抑えられる理由や注意点を解説

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ローコスト住宅はなぜ安い?コストを抑えられる理由や注意点を解説

人生の中で大きな買い物となる家づくりですが、ローコスト住宅であれば建築費用を抑えたマイホームが手に入ります。そもそもローコスト住宅はなぜ安いのか、安心して暮らせる家なのかといった疑問や不安をもつ方もいるでしょう。

そこで本記事では、ローコスト住宅が安い理由からメリット・デメリット、建てる際の注意点などを解説します。家づくりのコスト面に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

建築費用が安い「ローコスト住宅」とは

ローコスト住宅は、通常の注文住宅よりも安く建てられる家のことです。定義が決まっているわけではありませんが、一般的に坪単価50万円前後で建てられる住宅と認識されています。ハウスメーカーや工務店ごとに仕様の規格化や施工の合理化といった工夫を凝らすことで、低価格での建築を実現しているのです。

会社によっては、ローコスト住宅を全面的に売り出しているケースもあります。逆に大々的なアピールを行っていない会社もあるため、ローコスト住宅を取り扱っているかどうかは坪単価に注目してみるとよいでしょう。

ローコスト住宅はなぜ安い?安さの理由7つ

ローコスト住宅ですが、一般の注文住宅と比べてなぜ安いのでしょうか?安さを実現している要素は多岐にわたるので、その理由をご紹介します。

間取りやプランが規格化されている

ローコスト住宅では、間取りやプランが規格化されているといった特徴があります。注文住宅では、施主の希望や好みに合わせて間取り・デザイン・素材・住宅設備などを自由に決めることが可能です。しかし、ローコスト住宅は間取りや仕様をパターン化させた上で、土地の広さや家族構成などに応じて選択できるようにしています。

注文住宅はこだわればこだわるほど、建築費用が高くなってしまいがちです。しかし、ローコスト住宅では、間取りや仕様を統一されていることで、設計や施工にかかるコストが抑えられています。また、凹凸の多い形状の住宅は建築費用が高くなりやすいことから、シンプルな形状の間取りにしている点もローコスト住宅の特徴です。

標準仕様のグレードが低く設定されている

ローコスト住宅では、コストダウンのためにハイグレードな標準仕様を避けていることも特徴です。標準仕様とは、生活に欠かせない設備や内装材・外壁材の仕様を指します。

ハイグレードな建材や設備ほど機能性や性能が高いものの、その分価格も高くなり、建築費用の上昇につながるでしょう。そのため、標準仕様のグレードを下げることでローコスト化を実現しているのです。

しかし、グレードが低いといっても標準的なグレードを採用しているので、一般の分譲住宅と変わらない性能は有しています。予算に余裕があればグレードアップに対応してもらうことも可能です。そのため、ローコストでも快適に暮らせる機能・性能をもつ家を実現できるでしょう。

建材を大量仕入れして単価を抑えている

建材や設備は、同じものを一度にまとめて買った方が安く仕入れることが可能です。そのため、ローコスト住宅を取り扱っている住宅会社では、使用する建材を一括で大量に仕入れ、コストダウンを図っています。

ローコスト住宅の場合、間取りや標準仕様が規格化されているので、使用する建材もある程度決まっていることがほとんどです。建築に必要な建材や設備が事前に把握できている状態であることから、一括での大量仕入れが可能なのです。

施工方法を合理化して人件費を抑えている

建築費用には人件費も含まれるので、それを削減する工夫が行われています。ローコスト住宅は、シンプルな間取りを採用しているのが特徴です。シンプルな間取りは複雑な間取りよりも建築しやすい構造であるため、工事にかかる手間も抑えられます。

また、規格化させることで施工内容もパターン化でき、効率よく作業を進めることが可能です。簡単に施工できる環境が整っていれば人手を増やしたり、作業が遅延したりするリスクが減るので、結果的に人件費の削減につながります。

工場で木材を部品化して現場の作業を省力化している

施工を合理化する手段として、工場で部品化された木材を使用していることも挙げられます。工場で加工された木材を使うことで、現場で加工する必要がなく、組み立ての作業のみとなり、工事の工数が削減できるのです。現場で加工を行う注文住宅よりも作業が省力化されるので、人件費の削減にもつながっています。

また、規格されているローコスト住宅では、使用する木材のサイズが決まっているので、加工を一括で発注することが可能です。建材や設備の仕入れと同じく、木材の加工もその都度の依頼よりも一括で発注した方が原価を抑えられる傾向にあります。

広告費を抑えている

ローコスト住宅を取り扱っているメーカーは、広告費を抑えている傾向にあります。大量仕入れや施工の合理化などで削減できるコストもそこまで大きくありません。そのため、さらなるコストダウンを実現するためには、余計な出費を抑える必要があるのです。

広告費は、施主が支払う建築費用の一部から負担されています。大々的な宣伝・広告を避けることで広告費を最小限にでき、建築費用に反映される分が少なくなるため通常よりも安く家を建てることが可能です。

計画から竣工まで自社で一貫して管理している

ローコスト住宅を取り扱うメーカーでは、家づくりの計画から竣工まで自社で一貫管理が一般的です。中には、木材を部品化するための工場を保有しているケースもあります。

一般的にハウスメーカーでは、各工程をそれぞれ専門の下請け業者に任せています。その場合、関わる業者の数ほど手数料や人件費が発生し、建築費用に反映されてしまうのです。

しかし、住宅が完成するまでの工程を自社で管理できれば、手数料の発生を防げます。また、複数の業者を介さないので情報共有もスムーズに行われ、工期の遅延や施工ミスのリスクを抑えられることもメリットです。

ローコスト住宅の価格相場は?1,000万以下も可能?

建物の大きさや間取り、標準仕様などによって変動しますが、ローコスト住宅の価格相場は1,000万円台後半から2,000万円台前半が目安です。2,000万円台であれば、標準仕様からの多少のグレードアップや、鉄筋構造への変更、平屋・二世帯住宅など住宅タイプの変更も可能になります。さらに予算を当てられる場合、通常の注文住宅に近い自由度で設計することも可能です。

1,000万円台となると、シンプルなデザインや形状の家となり、設備も必要最低限のグレードになってしまいます。また、1,000万円以下の超ローコスト住宅も不可能ではありませんが、構造やデザイン、設備にこだわることが難しくなるでしょう。少しでも設計の自由度を高くしたいのであれば、1,000万円以上の予算を見積もっておくことをおすすめします。

ローコスト住宅の3つのメリット

ローコスト住宅を建てることには、どのようなメリットがあるのでしょうか?主に3つのメリットがあるので、詳しくご紹介します。

低予算でも建てられる

ローコスト住宅の大きなメリットといえば、低予算でマイホームを建てられることです。国土交通省による「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によれば、注文住宅の建築資金(土地購入資金は除く)の全国平均は3,935万円でした。

一方、ローコスト住宅の価格は、1,000万円台後半から2,000万円台前半が相場となっています。通常の注文住宅と比べて、大幅に予算を抑えることが可能です。経済的な理由で家づくりを躊躇している人や高額な住宅ローンの借り入れが厳しい人に、ローコスト住宅は向いています。

住宅ローンの返済期間を短くできる

価格が安いということは、住宅ローンの返済期間が短くなるので、早期完済を目指せるのもローコスト住宅のメリットです。住宅ローンは借入額が高額になるため、長期にわたって返済することになります。

しかし、返済の期間が長くなるほど生活や娯楽、貯金などに充てる費用が減り、さらに利息によって総合的に支払う金額が高くなる点に注意が必要です。ローコスト住宅はトータルコストが通常よりも少ない分、借入額も抑えられます。

また、出せる自己資金が多いほど、借入額を少なくすることが可能です。借入額が少なければ返済期間を短くすることが可能なので、結果的に返済の負担も軽減されます。高額な借り入れより審査が通りやすい点もメリットです。

工期が短いことが多い

ローコスト住宅は、短い工期で完成させられます。一般的な注文住宅の建築期間は5か月程度ですが、ローコスト住宅は3か月程度が目安です。

ローコスト住宅の場合、工場で部品化された材料や設備を現場で組み立て住宅をつくり上げていくので、現場で加工して建てるよりも素早く建てられます。また、プランが決まっているので打ち合わせの回数も少ない傾向にあり、その分早く着工に取りかかることが可能です。

ローコスト住宅は契約から着工、竣工までがスピーディーなので、短期間でマイホームを手に入れたい方に向いています。

ローコスト住宅はやばい?4つのデメリット

安さが魅力のローコスト住宅ですが、デメリットがあることも理解しておく必要があります。続いては、ローコスト住宅に潜む4つのデメリットを見ていきましょう。

デザインや間取りの自由度が低い

一般の注文住宅と比べてデザインや間取りの自由度が低いことがデメリットです。ローコスト住宅は、デザインや間取りなどの設計プランを規格化することでコストを抑えているので、どうしても自由度は下がってしまいます。

しかし、ローコスト住宅は間取り・建材・設備の選択肢がいくつか用意されているため、家族構成や好みに合わせて選ぶことが可能です。こだわりがそれほど強くなければ、デザインや間取りに制限があっても満足のいく家づくりができるでしょう。

性能が低い場合がある

高性能な住宅と比べると、ローコスト住宅は性能が低い傾向にあるのもデメリットです。もちろん、建築基準法に則って設計と建築が行われているので、適正基準は満たしており、欠陥住宅になる心配はありません。

しかし、建材や設備のグレードは抑えられているので、断熱性・気密性・遮音性などの性能は高性能住宅よりも劣る可能性があります。性能が低くなることで、人によっては住み心地が悪いと感じる場合もあるでしょう。

設備に関しては、グレードが低いと故障やトラブルが起きやすくなる可能性が懸念されます。ただし、予算に余裕があれば建材・設備のグレードアップが可能なので、性能を高めることも可能です。

オプションやプラン変更費用が割高

オプションを追加すれば、住宅の性能や利便性を高められます。しかし、ローコスト住宅では、オプションやプラン変更の費用が高くなりやすい点に注意が必要です。

先に述べたとおり、ローコスト住宅はプランの規格化や建材・設備の大量仕入れ、作業の簡略化などの企業努力によって低価格を実現しています。想定されていないプラン・オプションの追加や変更が行われると、仕入れや工事の手間が増えてしまうので、その分のコストが上乗せされてしまうのです。

オプションの追加やプラン変更ができるからといってこだわりすぎてしまうと、通常の注文住宅とほぼ変わらない価格になってしまう恐れがあります。

保証やアフターサービスが十分でない場合がある

ローコスト住宅は、保証やアフターサービスが大手ハウスメーカーと比べて劣る可能性があるので注意しましょう。住宅会社は住宅品質確保法によって、新築から10年間は瑕疵に対して住宅瑕疵担保責任を負う義務が定められています。

しかし、その後の保証に関しては住宅会社ごとに対応が異なり、大手ハウスメーカーでは45年や65年といった長期保証を用意しているケースもあります。一方、ローコスト住宅は保証期間が短い傾向にあるので、保証期間終了後に住宅にトラブルが発生すると修理の負担が増えてしまうのです。

施工の合理化により人件費を削減していることから、急なトラブルに対して素早い対応や定期的な点検・メンテナンスを実施できない可能性もあるので注意が必要です。保証期間やアフターサービスの内容を確認し、納得した上で契約をしましょう。

ローコスト住宅で後悔しないために注意するポイントは?

ローコスト住宅はデメリットもあるため、満足できる家づくりを実現するためには慎重な検討が求められます。ここでは、ローコスト住宅の建築を失敗しないための注意点をご紹介します。

複数社で見積もりをとる

ローコスト住宅といっても明確な価格が決まっているわけではないので、業者に相談してみたものの、適正価格なのか素人では判断が難しいものです。そこで、複数の住宅会社から見積もりをとってみましょう。

複数の会社から見積もりをとることで、金額から適正価格かどうかの判断ができます。相見積もりをとる際は、予算と希望を伝えて、それを満たしたプランを提案してもらうことがポイントです。条件が一致しないと各社で見積もりをとっても、比較が難しくなってしまうので注意してください。

バーチャル住宅展示場の「LIVRA WORLD」では、自宅にいながら複数のハウスメーカーや工務店のモデルハウスの見学が可能です。複数社の費用もそれぞれ比較できます。ローコスト住宅を扱う業者選びに役立つため、ぜひ活用してみてください。

標準仕様を確認しておく

ローコスト住宅の標準仕様は、一定の基準を満たしています。しかし、製品のレベルや耐久性、耐用年数などを確認しておかないと後々後悔する可能性があるでしょう。とくに断熱材・耐震等級など目に見えない部分は、品質やレベルをしっかり確認することで、安心して暮らせる住宅かどうかを判断できます。

また、どこまでプランに含まれているのか確認することも大切です。プラン内容がわかっていれば、早期にグレードアップやオプションの追加を検討できます。それにより、コストダウンの調整や予算の見直しもしやすくなるでしょう。

住宅性能表示制度に対応している会社を選ぶ

ローコスト住宅を建てる際は、住宅性能表示制度に対応している住宅会社がおすすめです。住宅性能表示制度とは、国が認定した第三者機関によって行われる住宅性能の評価制度になります。耐震性・構造の安定性・省エネルギー対策など複数の項目が設けられており、各項目の等級からどれだけのレベルを満たしているか把握することが可能です。

住宅性能表示制度に対応している住宅会社であれば、一定の基準を満たした性能を有するローコスト住宅を建てられます。万が一建てた家に不具合があれば、1万円の手数料を支払うことで国が紛争処理を行ってくれることもメリットです。

資金に余裕をもっておく

低価格で建てられるローコスト住宅ですが、資金に余裕をもっておくことが大切です。費用を比較して1社に絞り込んでも、プランを練っていくうちに予算オーバーとなってしまう可能性があります。

また、途中でオプションの追加やプラン変更が必要になることもあるでしょう。予算ギリギリの資金しか確保できていないと、オプションの追加やプラン変更に対応できなくなってしまいます。

家づくりでは想定外のコストが発生することがあるので、予算よりも少し余裕をもって資金を確保しておくと安心です。総費用の1割程度を目安に余力を残しておきましょう。

まとめ:低コストで建築できるローコスト住宅の建築を検討しよう

ローコスト住宅であれば、家づくりにあまり予算をかけられない人でもリーズナブルな価格でマイホームを手に入れることが可能です。低価格とはいえ、一定水準の性能や機能性を有しているので、安心して暮らせる住宅を実現できます。

しかし、注文住宅と比べると設計の自由度が低い、性能が低くなりやすいなどのデメリットもある点も理解しておきましょう。優先順位や予算を明確にし、コストを押さえながらも条件を満たしたプランを提案してくれる会社選びが重要です。

LIVRA WORLD」では、オンラインからいつでも気軽にモデルハウスの見学ができます。費用の比較も簡単にできるので、住宅のイメージづくりや業者探しに活用してみてください。

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