注文住宅で設置できる窓の種類や失敗しないためのポイントとは?

家づくり
注文住宅で設置できる窓の種類や失敗しないためのポイントとは?

家づくりでは、間取りに合わせて窓についても考える必要があります。注文住宅では、部屋の用途やデザインに合わせて、さまざまな種類の窓を選択することが可能です。

 窓は種類や大きさ、配置などによって住まいの快適性が変わり、見た目にも影響を与える大事な部分になります。そのため、マイホームの窓計画は慎重に検討していきましょう。

この記事では、注文住宅で設置可能な窓の種類やよくある失敗例、窓計画のポイントなどを解説します。見た目から住みやすさにもこだわった家を建てたい方は、ぜひ参考にしてください。

住宅に欠かせない窓の役割4つ

窓は住宅にとって、重要な役割を持つ部分です。まずは、窓に与えられている4つの役割を紹介します。

採光│家の中に光を通す

窓には、外からの自然光を室内に取り入れる(採光)の役割があります。窓がない部屋は閉鎖された状態なので、日中も照明がないと真っ暗です。それでは、常に電気をつけないといけないため、電気代も高くついてしまうでしょう。 

建築基準法では、一定の採光をとるために窓を設けることが決められています。住宅の居室ごとに必要となる窓面積は、床面積の7分の1以上です。たとえば、床面積が10平方メートルの部屋であれば、1.4平方メートル以上の窓面積が必要になります。

実際に最低限必要となる窓面積は、採光補正係数で計算するのが基本です。採光補正係数とは、開口部の自然光を取り入れるのに有効な面積(有効採光面積)を計算する際に使う数値になります。光の入りやすさを示す採光関係比率に、住居系や工業系など用途地域別に定められた数値をかけることで有効採光面積を求めることが可能です。立地や隣家の距離など環境が考慮されるため、算出される窓面積は建物ごとに異なります。

通気│空気を入れ替えて湿気やにおいを逃がす

室内に風を通して空気を入れ替え、住む人の健康や快適性を守るのも窓の役割です。人が室内で生活をしているうちに、室内の空気は二酸化炭素や湿気、においなどで汚れてしまいます。汚れた空気が滞留したままでは健康に悪影響をもたらす可能性もあるので、換気をして空気を入れ替えることは大切です。 

換気扇があれば、窓がなくても換気はできます。しかし、換気扇が壊れてしまえば換気ができなくなるので、そのときのためにも窓は必要です。 

建築基準法では、居室に換気の窓や開口部を設置することを定めています。必要な換気面積は、床面積の20分の1以上です。

床面積10平方メートルの部屋であれば、0.5平方メートル以上の換気面積が必要になります。そのため、採光に必要な窓面積を確保していれば、換気面積の条件もクリアしたことになるといえるでしょう。

ただし、換気のために窓を開けっぱなしにしていると、虫が入ってしまう可能性があります。虫の侵入を抑えて換気したいときは、網戸の設置も検討しましょう。

排煙│災害時の有害な煙を逃がす

窓は、非常時の安全を確保する上でも大切なものです。たとえば、室内で火災が発生した際、有害な煙が家の中に充満します。それを吸い込めば命の危険にも関わるため、排煙するための窓が居室には必要です。 

なお、建築基準法では、3階建ての住宅に排煙するための窓や開口部の設置を定めています。さらに、3階には道路に面した部分に、消防活動用の窓の設置も必要です。

気をつけていてもちょっとした不注意や自然災害により、火災が発生してしまう可能性はどの家にもあります。窓を設けることは、住む人の命を守ることにもつながるのです。

開放感│外とのつながりを生む

窓には外とのつながりを生み、室内を開放的な空間に演出する効果があります。窓がない部屋は視認性が低い状態なので、窮屈な雰囲気を感じやすいです。

しかし、窓をつくれば外の景色が室内から見えるようになり、外とのつながりが強まることで室内の開放感も高まります。窓が多かったり、サイズが大きかったりするほど、部屋を広く見せることも可能です。

注文住宅で設置できる代表的な窓の種類

窓には、デザインや開け方、性能などが異なるさまざまな種類が存在します。ここからは、注文住宅で用いられる代表的な窓を紹介していきます。

引き違い窓│左右にスライドして開く定番の窓

2枚以上の窓ガラスを左右に動かして開閉する構造となっており、日本の住宅で主流の窓です。窓面積を大きくしやすいので、採光や通気性に優れています。また、安価で種類が多いこともメリットです。

しかし、上下のレールで戸車を動かす仕組みであるため、他の窓と比べて気密性が低いことに注意しましょう。また、縦横の比率が近く窓全体が正方形に見えやすく、内装や外観のデザインに締まりがない印象を与えやすい点もデメリットです。

引き違い窓は高さによって、腰窓や掃き出し窓と区別されることがあります。腰窓は腰の高さまであり、採光や換気のために設置される窓です。掃き出し窓は、人が屋内外を行き来できるほどの高さがある窓のことで、リビングやベランダ・バルコニーがある部屋などでよく見る種類になります。

上げ下げ窓│上下にスライドして開く気密性に優れた窓

2枚の窓ガラスを上下に動かして開閉する構造の窓です。2枚の窓ガラスがどちらも動かせるタイプ(ダブルハング窓)、下一面だけが動くタイプ(シングルハング窓)、上下の窓が連動して動くタイプ(バランス窓)の3つに分けられます。

主に欧米で採用されている窓で、個性的なデザインにこだわりたいときにおすすめです。窓の端に隙間が生じないため、気密性に優れています。横幅が狭いデザインであり、さらに他の窓よりも開けづらい構造となっているので、侵入口には向かず防犯性も高めです。

大きな窓のできないこと、価格が高く窓の数が多いほどお金がかかってしまう点にも注意しましょう。上下に窓ガラスが並ぶ構造上、外面の上部は手が届きづらく、お手入れがしやすいデメリットもあります。

片開き・両開き窓│窓枠を軸に開く窓

窓枠に固定された窓ガラスを、ドアと同じ仕組みで開閉するタイプの窓です。窓ガラス1枚のものを片開き窓、窓ガラス2枚で構成されるものを両開き窓と呼びます。両開き窓は海外でよく採用されているので、海外風デザインの住まいにしたいときにおすすめです。

構造的に窓を大きく開けられることから通気性に優れており、とくに両開き窓は全開にできるため開放感を求める場合に適しています。窓を大きく開けられる構造ゆえに安全性や防犯性能が低下しやすいため、ストッパーで可動域を制限するなどの工夫が求められるでしょう。

縦・横すべり出し窓│外・内側に向かって開く窓

窓枠に沿ってレバーで押し出すことにより、窓ガラスが回転しながら開閉する1枚窓です。回転する方向が縦の場合は縦すべり出し窓、横の場合は横すべり出し窓と呼ばれています。また、窓が開く方向も内開きと外開きの2種類から選ぶことが可能です。

中桟(窓を中心部で2つに区切るアルミの枠)がないためすっきりとした印象となっており、スタイリッシュさを求める場合に適しています。縦すべり出し窓は雨が室内に侵入しにくい構造となっていますが、通気性の確保はやや劣る点がデメリットです。一方、横すべり出し窓は通気性やお手入れのしやすさに優れていますが、雨が吹き込みやすい点に注意しましょう。

ルーバー窓│視線を遮りたい場所に適した窓

細長い羽状のガラスを複数並べた見た目の窓で、ハンドルを使い回転させながら開閉する構造となっています。開く角度を調整できるため、プライバシーに配慮しながら採光や通気性を確保することが可能です。

ブラインド風の形状であるため、雨が吹き込みにくいメリットもあります。ただし、気密性はそれほど高くないため、居室への設置には向いていません。また、ルーバー窓のガラスは外すことも可能なため、防犯対策として面格子を併用するといった工夫が求められます。

出窓│外に突き出した形状の窓

壁から外に突き出した形状が特徴的な窓です。窓が外側に突き出している分、空間に奥行きを出せます。また、出窓の下部にカウンターが設けられるので、観葉植物や雑貨など飾ることが可能となり、インテリアにこだわりたい人におすすめです。 

外の風景が見やすい窓なので、お庭や自然風景が見える部屋に設置するとよいでしょう。余分にスペースがある分、夏は熱気、冬は冷気が窓周辺にこもりやすくなります。室内と窓際で温度差が生じ、結露しやすい点に注意してください。

FIX窓│採光やデザイン性にこだわれる窓

窓ガラスが固定されていて開閉できない1枚窓で、はめ殺し窓とも呼ばれています。通気や出入りは不要なものの、採光を確保したい場所に設置されるのが一般的です。形からサイズまで自由に選べるため、デザイン性にこだわった居室にできます。 

FIX窓に採用できるガラスもさまざまです。たとえば、すりガラスを採用すれば、プライバシーを確保しながら光を取り込めます。

しかし、開かない窓なので、設置場所次第では外面のお手入れが難しいことがデメリットです。メンテナンス性も考慮して、配置を考える必要があります。

天窓│日当たりが悪い部屋からも採光がとれる窓

屋根側に設けられる採光に特化した窓です。トップライトとも呼ばれており、主に日当たりが悪い北側の居室に採用されるケースもあります。また、外からの視線が入らないので、プライバシーを確保したい寝室やリビングにおすすめです。

デメリットは、直射日光が入り込むので夏場は室内温度が高くなりやすいことが挙げられます。また、屋根側に設けるため天窓から雨漏りが発生する可能性があり、そのリスク度は施工会社の技術力に左右されるでしょう。

注文住宅の窓に多い失敗事例3選

家を建てた人の中には、窓計画で失敗してしまったケースもあります。ここからは、新築住宅で起きやすい窓に関する失敗事例を3つ見ていきましょう。

外観とのバランスが悪くなった

窓は外からも見える部分であるため、窓の大きさや位置次第でアンバランスな外観になってしまう場合があります。とくに、窓のサイズや位置がバラバラだと、統一感がない外観となってしまうでしょう。 

あえてサイズや位置を崩すことで個性を引き出せますが、おしゃれな外観に見せるためのデザイン力が求められます。個性を優先して奇抜な外観にしてしまうと後悔する可能性があるので、縦横のバランスが整った配置で考えるのが無難です。

窓を余計につくりすぎた

窓の数が多いほど自然光が入り込みやすく、明るい空間にできます。しかし、窓が多ければいいわけではありません。必要以上に窓をつくってしまうと、窓を塞がないように家具を置こうとして、レイアウトに悩んでしまうでしょう。さらに、断熱性能や気密性が下がって、冷暖房効率が悪くなるデメリットもあります。

また、プライバシーが守られにくくなり、外からの視線が気になってしまうこともあるでしょう。窓が多ければ多いほど侵入経路が増えるため、防犯性能の低下にもつながります。

採光にこだわりすぎて快適性が下がった

何も考えずに採光性の高い窓を設置すると、暮らしの快適性が下がる可能性があるでしょう。採光性の高い窓は直射日光が入りやすく、部屋が眩しすぎる・室内が暑い・家具や壁などが日焼けするなどのデメリットがあります。 

窓面積が大きくなるほど気密性も下がるため、隙間風や冬場の冷気で室内が寒くなりがちです。採光にこだわりすぎるあまり快適性が失われないように、部屋ごとの日当たりに考慮して窓の大きさや種類、配置を検討していく必要があります。

ただし、配置などを検討するには住宅の完成イメージができていなければいけません。バーチャル住宅展示場の「LIVRA WORLD」であれば、自宅に居ながらさまざまなモデルハウスの内覧ができるため、住宅の完成イメージがつきやすくなります。ぜひ、活用してみてください。

注文住宅の窓計画で失敗しないためのポイント

窓の大きさや位置1つで住まいの快適性は変わるため、窓計画に難しさを感じる人もいるでしょう。住まいづくりで失敗しないためにも、窓計画のコツをご紹介します。

部屋ごとに必要となる機能を理解して窓を選ぶ

窓に求められる機能は、部屋によって異なります。そのため、部屋ごとに必要な機能を把握した上で、窓の種類や大きさを選択するとよいでしょう。

たとえば、リビングは家族が過ごす部屋なので、通気性と採光性が求められます。窓面積の大きい引き違い窓や片開き・両開き窓、天井から光を取り入れられる出窓などが適しています。

浴室や洗面所、トイレなどは通気性を確保しつつ、プライバシーに考慮しなければなりません。そのため、ルーバー窓やFIX窓などが適しているといえます。窓の種類は施主の好みもあるため、ハウスメーカーや工務店の設計士とよく相談し、適した窓を選んでいきましょう。

採光とプライバシー性の両立を意識する

窓計画では、採光とプライバシー性のバランスに考慮することも大切です。たとえば、大きな窓は採光性に優れていますが、プライバシー性は下がってしまいます。とくに人通りの多い側や隣家の窓と接する部分に窓を設けた場合、視線が気になりカーテンを閉めっぱなしにするという事態にもなりかねません。

フェンスや生垣で外からの視線をカバーできる位置にする、難しい場合は天窓のような外からの視線が入り込みにくい窓で採光をとるといった工夫が必要です。周辺環境に考慮しながら、採光とプライバシー性を両立できる配置を考えていきましょう。

家具を置く位置をイメージしながら考える

窓の配置は外の環境だけではなく、内観をイメージしながら考えることも重要なポイントです。採光や通気を妨げないためにも、家具は窓にかぶらないように配置しなければなりません。

窓の位置から考えてしまうと、その部屋に必要な家具が置けなくなってしまう可能性があります。そのため、まずはどこにどのような家具を置くのかイメージしながら、窓の位置を考えていきましょう。

窓計画では、直射日光の入りにくさにも考慮しましょう。直射日光が入りやすいと、眩しくてテレビが見づらい、フローリングや家具が日焼けするなどのトラブルが発生しやすくなります。必要に応じて遮光カーテンやロールスクリーン、ブラインドの設置も検討してください。

風の通り道を部屋単位で考える

窓を1枚設置しただけでは風の通り道ができず、効率よく換気ができません。そのため、通風性のよい部屋にするためには、部屋ごとに窓を2つ以上設置するのが望ましいです。 

たとえば、部屋の両端にバランスよく窓を配置するだけでも、風の通りはよくなります。窓の設置場所や枚数は、部屋ごとに風の通り道も意識しながら考えてみてください。

手入れのしやすさに考慮する

外側と面する窓は汚れやすいので、定期的にお手入れが必要になります。そのため、窓計画ではメンテナンス性に考慮することも重要です。 

お手入れのしやすさは、窓の種類や大きさ、位置などの条件で変わってきます。高所に窓を設置した場合、手が届きにくいので掃除も難しくなるでしょう。また、FIX窓のような開け閉めできない窓は、外側のお手入れがしづらい特徴があります。

窓の種類や配置ごとのお手入れ方法をハウスメーカーに確認した上で、どの窓をどこに設置するのか検討してください。

窓ガラスとサッシにこだわる

窓ガラスやサッシは、室内の冷暖房効率や快適性に関わる部分です。そのため、窓ガラスとサッシの選び方にもこだわっていきましょう。

断熱性を高めるのであれば、ガラス1枚のみの単板ガラスよりも、複数のガラス層で構成される複層ガラスがおすすめです。窓ガラスの種類は豊富で、特殊加工により割れにくいガラスや遮熱性・遮音性の高いガラスまで選べます。

サッシには、アルミサッシや樹脂サッシ、木製サッシなど素材の種類は多岐にわたります。風合いにもこだわりたいのであれば、木製サッシがよいでしょう。断熱性にこだわるなら樹脂サッシやアルミ樹脂複合サッシがおすすめです。

窓計画に悩んだときはモデルハウスを参考にしてみよう

注文住宅の仕上がりは実際に完成してみないとわからないため、慎重に検討しても窓設計画が失敗することがあります。窓計画で失敗しないようにするためには、具体的なイメージを持つことが大切です。 

窓の配置や大きさなどに悩んだときは、近所の住まいやモデルハウスなどの実物からアイデアを得るとよいでしょう。バーチャル住宅展示場の「LIVRA WORLD」なら、自宅にいながらモデルハウスを見学できるので、アイデアがなかなか思い浮かばないときに活用してみてください。 

さらに、モデルハウスをカスタマイズする機能も使用できるので、理想の間取りや窓の形など、具体的にイメージを掴むことが可能です。窓計画にはどのようなアイデアがあるのか、モデルハウスから知りたい方はぜひLIVRA WORLDを活用してみてください。

まとめ:窓計画をしっかり立てて外観や快適性に優れた注文住宅をつくろう

今回は、注文住宅を建てる際に重要となる窓についてご紹介しました。窓は居心地のよい家を実現するために欠かせないものです。

窓には多種多様な種類があり、それぞれメリットとデメリットがあります。そのため、部屋に合わせて種類や大きさなどを選ぶことが大切です。とくに採光・通気・プライバシーの3点を重視しながら、快適に住める窓のプランを立てていきましょう。



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