注文住宅の流れとは?土地ありと土地なしの場合にかかる期間も解説
念願のマイホームを建築する༏...
国土交通省の建築着工統計調査によれば、平屋住宅の建築件数は年々増えています。2015年の着工棟数は約34,000棟であったのに対して、2021年には約55,000棟が建てられました。とくに近年では若者の平屋建築も増えてきており、トレンド化しつつあるのです。
平屋の住宅は1階にすべての部屋があるため室内の移動が楽、家事動線がいい、間取りやデザインの自由度が高いなどのメリットがあり、とくにコンパクトな家にこだわりがある人におすすめです。その一方で平屋のデメリットのひとつに、新築を建てる際のコストが上がりやすいことがあげられます。
今回は、平屋の新築にかかる費用相場から、コストが上がる理由、費用を抑えるコツまで詳しく解説するので、家づくりを検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
適切な資金計画を立てるためにも、まずはどれくらいのコストになるのか相場を把握しておきましょう。ここからは、坪単価における相場から、新築で平屋を建てた場合のおおまかな相場をご紹介します。
木造平屋を建てる場合、坪単価の相場は40~60万円です。坪単価は建築費用を求めるために使われる一坪あたりの費用のことで、広さや設備のグレード、使用する素材などによって変動するため、木造平屋では相場以上になることもあります。
家を建てるための総額を求めることはできませんが、すでにどのくらいの広さ(延床面積)の家が欲しいのか決まっているなら、おおよその建築費用を算出可能です。建築費用は「坪単価×延床面積」で求められます。
坪単価から求められる建築費用はあくまでも目安と考えて、仕様の追加や設備・素材をグレードアップする際は、予算と全体的なコストも考慮して検討しましょう。
上記の坪単価や建築費用の計算方法を踏まえた上で、おおまかな相場価格を算出してみましょう。たとえば30坪の平屋を建てたい場合、坪単価×延床面積で1,200~1,800万円となります。
しかし、家を建てるためには建築費用以外に付帯工事費(建物本体以外にかかる費用、地盤改良工事や解体工事、外構工事など)と諸費用(住宅ローンの借入費用や登記、不動産業者への仲介手数料など)もかかるので注意が必要です。それぞれの目安は付帯工事費だと建築費用の約20%、諸費用は約10%になります。
したがって平屋新築の相場は、おおよその建築費用である1,200~1,800万円+付帯工事費(240~360万円)+諸費用(120~180万円)=1,560~2,340万円
なお、土地を購入する場合には、その費用も追加されることを考慮しておきましょう。
ハウスメーカーの場合だと、坪単価は40~70万円が相場です。30坪の住宅を建てるときの費用相場は、1,200~2,100万円と算出されます。
坪単価の相場は平屋と2階建てで大きな差はありません。ただし、実際は平屋の方が1~2割ほど高くなることもあります。
2階建ては延床面積の合計が大きくなる傾向にあり、坪単価も安くなる傾向です。逆に延床面積が小さくなる平屋は、坪単価が高くなる傾向にあります。
平屋の費用相場は、家の間取りでも変動します。ここでは、一般的な間取りである1LDK~4LDKまで間取り別に費用相場を見ていきましょう。
1LDKの平屋は、1人暮らしやコンパクトな家を好む方におすすめの間取りです。シンプルな間取りなので、移動や掃除が楽というメリットがあります。
必要になる家の広さの目安は12~20坪ほどで、必要な建設費用の相場は500~1,560万円です。費用は比較的安いため、設備や建材にお金をかけられれば、より快適性に優れた平屋を建てられるでしょう。
2LDKの平屋も1人暮らしや夫婦におすすめの間取りです。個室がひとつ増えるので、寝室以外に書斎や趣味部屋など別の目的の部屋を持てます。
また、将来子どもが生まれたときには、1部屋を子ども部屋として利用することも可能です。2LDKの平屋なら19~25坪ほどの広さが必要となり、費用相場は800~1,950万円が目安となります。
3LDKの平屋は、3~4人暮らしの家族におすすめの間取りです。3つある部屋を夫婦の寝室を1部屋と子ども部屋を2部屋にしたり、夫婦の寝室と書斎(趣味部屋)と子ども部屋に分けたりできます。
必要になる家の広さは25~30坪ほどで、費用相場は1,300~2,340万円が目安です。中堅クラスのハウスメーカーであれば、坪単価は約40万円に抑えられる可能性があり、3LDKでも比較的安い価格で平屋を建てられます。
安さを優先したせいで建設後に後悔しないように、何を最優先にするかしっかり決めることが、満足な家づくりを実現するコツです。
4LDKの平屋は、4~5人暮らしの家族におすすめの間取りです。たとえば、子ども2人の4人家族であれば、夫婦の寝室と子ども部屋2つの他に、書斎や趣味部屋など他の用途に使う部屋を一室確保できます。
また、子どもが3人いる場合は、夫婦の寝室と子ども部屋3つを確保できるので、家族5人で暮らすのにもおすすめです。必要となる広さの目安は30~35坪となり、費用相場は1,560~2,730万円となります。
少しでも建築費用の負担を抑えたいときは、坪単価が50万円前後になるように設備や外観を調整できるハウスメーカーに相談するといいでしょう。
一般的に、平屋は2階建てよりもコストがかかりやすいといわれています。平屋のコストが上がる要因についてご紹介しましょう。
前述したとおり、平屋は延床面積が2階建てよりも少なくなるため、坪単価が高くなりがちです。坪単価は「建物の建築費用÷延床面積」で求められます。
たとえば、35坪の土地に25坪の平屋を1,500万円で建てる場合の坪単価は以下のとおりです。
1,500万円÷25坪=坪単価60万円
35坪の敷地に30坪の2階建てを建てる場合の坪単価は以下のように算出されます。
1,700万円÷30坪=坪単価56万円
このように、同じ広さの敷地でも建てる坪数が異なることで、単価は変わってくるのです。ただし、全体的な建築費用に関しては、プランによって平屋の方が安くなる可能性があるので、坪単価だけで判断しないようにしましょう。
建築に必要なお金は建築費用だけではありません。家を建てるための土地がない場合は、土地の購入が必要となるため土地代が発生します。平屋は1階にすべての部屋が集結することになるので、ある程度広い面積を有する土地が必要です。
一方、2階建ての場合は、同じ部屋数でも2階に部屋を設置できるので、平屋よりも小さな土地に建てられます。土地代は広ければ広いほど高くなるので、平屋は土地代の負担が2階建てより大きい可能性が高くなるのです。また平屋は屋根のサイズも大きくなるので、屋根代も2階建てより高くなってしまう傾向にあります。
環境によっては、平屋の採光や風通しを確保するために工夫が求められます。具体的には、各部屋に自然光や風を取り込めるように窓の位置や数などを考え、間取りを考えなければなりません。
平屋の場合、部屋の位置によっては窓を付けられないこともあるため、2階建てよりも採光・通風計画が難しくなる可能性もあります。日当たりを良くするために天窓を設ける、壁をつくらず開放的な空間にするなどの工夫が必要となることもあり、その分コストが高くなってしまうのです。
平屋は開放感が魅力ですが、外からの視線を受けやすく、プライバシーの確保が難しいという注意点があります。また、2階建てと比べて不審者が侵入しやすい点もデメリットです。
平屋の家で安全かつ快適に暮らせるようにするためには、プライバシーの保護と防犯対策を徹底する必要があります。外からの視線を遮るためには、目隠しフェンスや庭木を植えるなどの対策が効果的です。
また、住宅内で家族同士のプライバシーを確保するためには、壁や間仕切りで居室を仕切る、リビングと個室の間に廊下をつくるなどの工夫が求められます。防犯対策には、踏むと音がする砂利を敷く、防犯カメラ・人感センサー付き照明機器を設置する、フェンスで侵入を阻むなどの工夫も必要となるでしょう。
これらの対策を講じるとなると、ある程度のコストをかける必要があるため、建築費用が高まる原因となってしまいます。
建売住宅は、注文住宅と比べて建築費用が安いことが特徴です。しかし、平屋が建売されることはほとんどなく、注文住宅での建築が基本となります。注文住宅は自由に設計できることが魅力ですが、その分建築費用は割高になるので、この点も平屋の方が高いとされる要素といえるでしょう。
建売の場合、土地代も建築費用に含まれているのも注文住宅との違いです。まだ土地を持っていない場合、土地探しと建築が必要となる点も平屋の費用が高くつく理由となります。
さまざまな要因で費用が高くなってしまう平屋ですが、工夫次第でコストを削減できます。ここからは、平屋の新築費用を抑えるコツを5つご紹介しましょう。
平屋の新築費用を削減するのであれば、外観や間取りはシンプルにするのがおすすめです。たとえば、建物の形状が凸凹していると壁や柱の数が多くなるので、その分費用が高くつきます。
逆に直方体や立方体のように凸凹が少ない形状であれば、少ない壁と柱で家を建てられるでしょう。また、外壁材や屋根材、壁紙、ドアなどの建具もシンプルなデザイン・構造を選ぶことで、コストの削減につながります。
屋根は、勾配が大きくなるほど屋根面積と壁面積が大きくなり、費用も高くなるものです。屋根が高くなると勾配が大きくなるため、できるだけ高さを抑えると勾配が小さくなり、結果的に屋根の費用を削減できます。
また、屋根の形状は切妻、寄棟、方形、片流れの4つに分けられ、形によってもコストが違います。中でも、一方に傾斜を有する片流れは4つの形状の中で勾配が小さいため、コストを減らしたいときの選択肢のひとつとなるでしょう。
平屋の新築費用を減らすなら、無駄に廊下や部屋をつくらないことも大切です。廊下や部屋が増えるほど坪数が大きくなり、総合的な建築費用は増えてしまいます。
たとえば、リビングや寝室の一部をワークスペースにできるなら、別途書斎などをつくる必要もなく、部屋数の削減が可能です。要望をあれこれ詰め込もうとはせず、本当に優先するべきことは何か考えて部屋数や間取りを考えましょう。
個室をすべて洋室にすることも、コストダウンにつながります。和室は白木や畳、砂壁など洋室よりも高い資材を使ってつくるため、コストが上がりやすいのです。低コストでつくろうと畳や障子、ふすまなどのグレードを大幅に下げてしまうと、耐久性の低さからメンテナンス費用が負担になってしまう可能性があります。
畳はグレードによって張り替えにかかる費用が変わり、6畳の和室であれば5~10万円はかかってしまうため、決して安いとはいえません。必ずこだわりたい場合を除いて、コストダウンを狙うなら和室をつくるのは避けるとよいでしょう。
ハイグレードの設備や素材ばかりを選んでしまうと、あっという間に予算をオーバーしてしまいます。しかし、新築費用を削るためにコストダウンしすぎてしまうと、安全に暮らせない平屋となってしまうため、コストとグレードのバランスが大事です。ここで、具体的にコストダウンを避けたい箇所をご紹介します。
耐震性や耐火性に関する部分のコストダウンはおすすめしません。もしも大きな地震や火災が発生した場合、防災に関する機能性が低下していると、住む人の命を守れない恐れがあります。耐震性や耐火性は、建物の構造や資材、工法などで変わるため「地震に強い」「燃えにくい」といったセールスポイントを持つハウスメーカーに依頼すると安心です。
また、長期優良住宅に認定される基準として、「耐震等級2以上」と設定されているため、最低でも耐震等級は2以上で建築するとよいでしょう。
コストを考えすぎるあまりセキュリティの低い家になってしまうと、財産や生命が危機に晒される可能性があります。犯罪者が簡単に侵入してこないように、鍵や窓、ドアなどのグレードは安価なものを避けて、防犯性と安全性の高いものを選びましょう。
外構にもセキュリティ対策として、丈夫で侵入されにくいデザインのフェンスや門を建てることをおすすめします。
断熱性は住まいの快適性を左右する部分なので、こちらもコストダウンは避けましょう。安い断熱材を使うと外気の影響を受けやすく、夏は暑くて冬は寒い家になってしまいます。
室内の温度や湿度の調整がうまくいかないと、体調不良の原因にもつながる可能性があるでしょう。他にもカビや結露などが起きやすくなり、家の劣化を早めるリスクもあるため、断熱性にはある程度のコストをかけることをおすすめします。
極端に安価な屋根材や外壁材を使うと、雨や風によってダメージを受けて破損し、そこから雨漏りが発生する可能性があります。屋根も外壁も年数が経てば劣化するので、定期的なメンテナンスで良好な状態を保つことが大切です。最初から耐久性の高い屋根材や外壁材を選んでおけば簡単には壊れないので、メンテナンスも比較的簡単に済み、費用の軽減につながります。
窓のグレードを大幅にダウンさせると、セキュリティから通気、断熱にまで影響が出てしまう恐れがあるので要注意です。簡単にガラスが割れたり、鍵が外れやすかったりする窓だと、不審者の侵入を許してしまうでしょう。
安価な窓は、ガラスが薄くて外気の影響を受けやすかったり、隙間風が入り込んだりする可能性もあります。安全で快適な住まいを目指すには、窓にもある程度のコストをかけることが大切です。
また、窓は採光の役割もあるので、部屋や設置する位置に合わせて適切なサイズを選ぶようにしましょう。
費用面のデメリットを理解しつつ平屋を建てたいなら、住むイメージを膨らませることが大切です。具体的に生活のイメージができないと、自分たちに合った平屋が完成しない可能性が高まります。家づくりは失敗が多いからこそ、どのような暮らしを送りたいか、具体的なイメージを持ってみましょう。
イメージづくりにおすすめなのは、住宅展示場で家を見る方法です。しかし、忙しくて実際に住宅展示場へ行けないという人もいるでしょう。
そんなときは、インターネットからモデルハウスの見学に参加できる「LIVRA WORLD」の活用がおすすめです。家にいながらさまざまなモデルハウスを見学できるので、理想の平屋の間取りプランを立てる際のヒントを得られるはずです。
また、LIVRA WORLDではモデルハウスのカスタマイズができます。モデルハウスのデザインをシミュレーションできるため、理想とする住まいの具体的なイメージを家族と共有したいときにも便利です。他にもどのくらいの費用になるのか、価格シミュレーションからおおまかな予算を簡単に算出することもできるので、ぜひ活用してみてください。
1階しかない平屋は安い印象がありますが、坪単価が高かったり、広い土地が必要であったり、採光・通風、プライバシー・防犯にコストがかかったりといった理由からそれなりに費用が必要です。しかし老後の生活も考えると、移動しやすく、階段の上り下りによるケガのリスクがないなどのメリットがあるため、2階建てにはない魅力が平屋にはあります。
家づくりでは削ってはいけない部分もありますが、節約できる部分も多くあるので、何を最優先にするかを決めた上で、ライフスタイルや予算に考慮した平屋の新築一戸建てを考えていきましょう。