一戸建ての維持費はどれくらい?内訳から維持費を抑えるコツも紹介

家づくり
一戸建ての維持費はどれくらい?内訳から維持費を抑えるコツも紹介

戸建てを建てようと計画する際に、設計ばかりに目が向いてしまいがちですが、建てた後のことも考えることは重要です。たとえば、こだわりを詰め込んだ理想のマイホームを建てたのに、かなりの維持費がかかってしまうことによる後悔をする人もいるでしょう。

そこで本記事では、戸建ての年間維持費がどれくらいになるのかをご紹介します。さらに、維持費の詳しい内訳やマンションとの比較、維持費を抑えるためのコツなどもあわせてご紹介するので、これから家づくりを計画されている方はぜひ参考にしてみてください。

戸建ての年間維持費の目安は「約40万円」

まず、戸建ての維持費は1年間でどれくらいかかるのか目安を知っておきましょう。年間にかかる維持費の目安は約40万円です。

維持費といってもその内訳や金額は各家庭によって異なります。また、毎年必ず40万円程度の維持費がかかるわけでもありません。

たとえば、メンテナンスが必要ない年は40万円を下回るケースもありますし、大規模な修繕をした場合には100万円以上かかることもあります。戸建ての所有期間にかかった維持費を均一にしたときの目安が約40万円です。

戸建ての年間維持費の内訳

戸建ての1年間にかかる維持費の内訳は大きく3つに分類でき、そこからさらに細かく分けられます。

税金 保険料 修繕費用
固定資産税

都市計画税

火災保険

地震保険

屋根

外壁

バルコニー・ベランダ

壁紙

フローリング

水回り

雨どい

シロアリ対策

それぞれの内訳について詳しくご紹介します。

税金

戸建てを建てる場合、印紙税や登録免許税、不動産取得税などの税金が発生します。さらに、建築してからは毎年固定資産税と都市計画税を納めなくてはなりません。固定資産税は、全国の土地・建物に課税されるものですが、都市計画税が課税される土地・建物は限られています。

固定資産税

固定資産税は、毎年1月1日時点で土地や建物などを所有している場合に発生する税金です。毎年4~6月頃に納税通知書が自宅に届き、一括納付または年4回の分割納付で納めます。

固定資産税の税額は以下の計算式で求めることが可能です。

評価額×税率=固定資産税

評価額は建物と土地で異なり、建物であれば築年数の経過によって下がり、土地であれば地価の変動によって評価額も変わります。また、税率に関しては自治体によって異なるものの、ほとんどの自治体が1.4%です。

固定資産税には軽減措置が設けられており、2024年3月31日までに新築戸建てを建てた場合、3年間の固定資産税が2分の1に減額されます。また、建てた家が長期優良住宅の場合は軽減措置が2年間プラスされ、5年間の減額が可能です。

都市計画税

都市計画税とは、市町村が都市計画事業や土地空間整理事業に活用する税金です。戸建てを建てる地域が都市計画法で市街化区域内に入っている場合、毎年課税されます。税額の計算方法は以下のとおりです。

評価額×税率=都市計画税

評価額は、固定資産税と同様の評価額になります。税率は自治体ごとに設けられた制限税率が当てはまりますが、上限は0.3%です。

都市計画税にも軽減制度があり、住宅1戸あたり200平方メートルまでだと課税標準が3分の1に、200平方メートルを超える場合は3分の2になります。

保険料

我が家にもしものことがあった場合でも、保険に加入していれば安心です。とくに、昨今は自然災害のリスクもあることから、住まいの安心度を高めるためにも保険に加入するか検討しましょう。ここでは、住まいの保険として一般的な火災保険と地震保険について解説します。

火災保険

火災保険は、文字どおり火災による被害を受けた際に損害を補償するための保険です。名称からすると火災の被害だけを補償してくれるように思えますが、実際には落雷や爆発による損害も補償してくれます。中には洪水や台風などの自然災害から盗難、漏水による水漏れまで幅広くカバーしている火災保険もあるほどです。

火災保険料の相場は、提供する保険会社や建物のある地域、建物の構造、専有面積などによっても異なるため一概にはいえないものの、年間で1~5

万円ほどかかると考えておきましょう。

地震保険

地震保険とは、火災保険で賄いきれない損害を補償するための保険です。基本的には地震保険単独で加入するよりも、火災保険とセットで加入するケースが多く見られます。

地震保険料の相場も一概にはいえず、建物がある地域や構造などによって異なりますが、年間約1~5万円が相場となるでしょう。なお、地震保険には割引制度が設けられており、一定の耐震性能が備わった建物だと10~50%の割引を受けられます。

修繕費用

大切な我が家に長く住み続けるためには修繕やメンテナンスを行うことも大切です。新築で建てた場合、すぐに修繕費用を用意する必要はないかもしれませんが、万が一の事態に備えてあらかじめ積み立てておくとよいでしょう。

屋根

屋根は外壁と比べて目立たない部分ではありますが、常に紫外線や雨風などにさらされているため、劣化が進みやすい箇所でもあります。そんな屋根は10~15年で一度メンテナンスを行いましょう。

修繕の内容は、主に塗装や補修工事、葺き替えなどです。塗装や一部の補修工事であれば数十万円程度、大掛かりなカバー工法や葺き替えが必要となる場合は数百万円の費用がかかる場合もあります。

外壁

外壁にはサイディングやモルタル、ALCパネルなどさまざまな素材がありますが、いずれも紫外線や雨風にさらされているため、約10年で劣化症状が表れる可能性が高いです。また、耐用年数が低い塗料が使われていたり、潮風が当たりやすい沿岸地域だったりすると、5~8年程度で劣化が見られるケースもあります。

ひび割れの補修程度であれば数万程度で済みますが、全面塗装工事となると数十万円~100万円以上になることもあるでしょう。また、外壁材そのものを張り替えるとなると100万円~150万円かかる場合もあります。

バルコニー・ベランダ

バルコニー・ベランダも屋根や外壁と同様に、外の影響を受けて劣化しやすい場所です。たとえば、手すりの錆びや屋根部分の破損による雨漏り、床面のひび割れなどがあります。

バルコニー・ベランダの修繕にかかる費用は状況にもよりますが、10万~20万円ほどかかると考えておくとよいです。防水工事だと1平方メートルあたり2,000~4,000円程度で行えます。なお、下地から修理しなくてはいけない場合、1平方メートルあたり4,000~8,000円が目安です。

壁紙

内装の壁紙は劣化によって破れや剥がれ、色褪せなどが生じてきます。とくに、水回り付近の壁紙は湿気による影響で、数年で修繕が必要になるケースもあるでしょう。

費用は壁紙の種類や張り替える面積などで違ってきますが、一部の破れ・剥がれなどの補修だと約2~3万円かかります。また、張り替え工事を行うのであれば費用相場は6畳で3~5万円程度、8畳で4~10万円程度です。

フローリング

フローリングは、劣化すると床鳴りがひどくなったり、浮きが生じてきたりします。大体10~15年で修繕・張り替えが行われるのが一般的です。不具合を放置していると腐食や錆びが広がる恐れもあるので注意しましょう。

フローリングの修繕費用は、擦り傷や凹みなど一部の補修工事であれば3~5万程度が相場です。大規模補修が必要な場合、6畳だと重ね張り(既存の床材の上に新しい床材を張りつける)で8~14万円、張り替えで10~20万円が相場となります。

水回り(キッチン・バス・トイレ・洗面所)

毎日使う水回りは使用する頻度も高いため、トラブルも発生しやすい場所です。また、使い方によっては劣化を早めてしまう場合もあります。

水回りの修繕費用は発生する場所やトラブルの原因などによって異なるものです。たとえば、キッチンシンクで詰まりが発生した場合、修繕費用の相場は約4,000円になります。しかし、キッチンそのものをリフォームするとなると50~150万円程度はかかるでしょう。

以下は、各水回りの場所と修繕費用の相場をまとめたものです。 

水回り 修繕費用の相場
キッチン
  • シンクの詰まり:約4,000円~
  • パイプからの水漏れ:約6,000円~
  • 全面リフォーム:約50~150万円
バス
  • 蛇口の水漏れ:約1,000円~
  • 排水口の詰まり:約4,000円~
  • シャワーヘッドの水漏れ:約4,000円~
  • 全面リフォーム:約100万円
トイレ
  • トイレの詰まり:約5,000円~5万円
  • 水漏れ:約4,000円~12,000円
  • 配管洗浄:約15,000円~4万円
  • トイレの交換:約30~40万円
洗面所
  • 洗濯パンの詰まり:約4,000円~
  • 蛇口の水漏れ:約6,000円~
  • パイプ交換:約6,000円~
  • 洗面台の交換:約20~30万円

雨どい

雨どいは、屋根に溜まった雨水を地面に流すための排水路です。もし、雨どいに枯れ葉やゴミが詰まって雨水が流れにくくなった場合、屋根から雨水が外壁を伝うようになってしまい、建物の劣化を早めてしまう恐れがあります。

雨どいを交換する時期の目安は約20年ですが、定期的なメンテナンスは必要です。部分的な修理や交換が必要であれば約3~5万円、雨どい全体を交換するなら10~70万円程度はかかるでしょう。雨どいの清掃を依頼する場合は1~3万円程度が相場です。

シロアリ対策

戸建てが木造の場合、シロアリ対策も行う必要があります。もしもシロアリが発生していて被害に遭っていた場合、駆除費用の相場は1平方メートルあたり約2,000~2,500円です。また、すでにシロアリの食害が発生していた場合、柱の交換には約30万円、土台の交換には約20万円がかかってきます。

シロアリの被害に遭うと高額な修繕費と駆除費用がかかってくるため、なるべく発生させないことが重要です。たとえば5年に1回は点検や消毒作業を行っておくとよいでしょう。

戸建ての維持費とマンションの維持費を比較

ここまで、戸建てにかかる維持費の内訳についてご紹介しましたが、実は戸建てとマンションで維持費に差が生じます。どれくらいの差が生まれるのか比較してみましょう。

固定資産税

固定資産税は、マンションの方が安く収まる傾向にあります。固定資産税は土地と建物の両方にかけられる税金です。

戸建ての場合は所有する土地と建物にそのまま税金がかけられます。一方、マンションの場合は土地をマンションの所有者で、敷地に対する持分割合を活用し按分した額を納めることになるため、固定資産税が安くなりやすいのです。

管理費

マンションの場合、自宅以外の廊下やエントランスなどの共用部分を清掃・管理するために、毎月管理会社に管理費を支払います。共用部分の管理は清掃以外にも、エレベーターのメンテナンスや照明の交換なども含まれるのが一般的です。

管理費の相場は月額1~2万円程度です。ただし、廊下・エントランス以外に豪華な共用施設があるマンションは、管理費用も高くなる傾向にあります。戸建ての場合、管理費はかかりません。

修繕積立金

修繕積立金とは、管理費とは別で建物の老朽化を防ぐための修繕費用として使われる積立金です。マンションでも外壁の塗装工事や屋上の防水工事、配管設備の維持管理、エレベーターの修繕工事などで多額の修繕費が発生する場合もあります。マンションではあらかじめ住民から修繕積立金を徴収しておき、修繕が必要な時期に積立金からお金を出すのが一般的です。

修繕積立金の相場は月額1~2万円程度になります。ただし、想定以上の大規模修繕やリフォームが必要となり、積立金だけでは賄いきれない場合もあるでしょう。そのようなときは、一時金の支払いを求められる可能性もあります。

駐車・駐輪費用

マンションに駐車場・駐輪場が設けられている場合、家賃とともに駐車場・駐輪場代を支払うことになります。また、マンションに駐車場・駐輪場がなく、自身が自動車・自転車を保有している場合は近くの駐車場を借りなくてはいけなくなるため、別途費用がかかってくるでしょう。

毎月かかる費用は駐車場の形態(平置き・機械式)やエリアによっても異なりますが、月額5,000円~5万円程度が相場です。とくに、東京23区内だと3~5万円程度かかってきます。

各種保険

戸建てと同様に、マンションの購入時に火災保険・地震保険に加入することになるため、各種保険料の支払いも必要となります。ただし、戸建てと比較すると保険料を決めるときに共用部分は含まれず、さらに自然災害によってマンションが倒壊するリスクは戸建てよりも低いことから、保険料も戸建てよりマンションの方が安くなる可能性が高いです。

戸建ての維持費を抑えるためのコツ

戸建ての維持費を少しでも安く抑えるにはどうすればよいのでしょうか?ここからは、維持費を抑えるためのコツを5つご紹介します。中には、戸建てを建てる前だからこそ検討できるものもあるため、ぜひ参考にしてみてください。

メンテナンスフリーで耐久性のある素材を選ぶ

これから家づくりに取り組もうと考えている、もしくは現在進行形で家づくりの計画に着手している方は、素材選びに注目してみましょう。建物に使われる素材の中には、メンテナンスの手間を省ける素材や、耐久性に優れた素材などがあります。

メンテナンスフリーの素材や耐久性に優れた素材を活用すると、その分メンテナンスを行う間隔が長くなり、トータルでかかる維持費を抑えられるでしょう。ただし、機能的な素材は普通の素材よりも高額になるため、初期費用とランニングコストのバランスを見ながら取り入れるか検討してみてください。

定期的に点検する

多額の維持費がかかりやすいのは、修繕・交換にかかる費用です。たとえば、床材を一部補修するよりも全面張り替えの方がお金もかかります。そのため、維持費を安く抑えるためには、なるべく修繕・交換をしなくてもいいように、定期的に点検してちょっとした不具合が見つかったらすぐに補修することが大切です。

また、日頃から掃除を行い、清潔に保つことも維持費の節約につながります。清掃中に不具合が見つかることもあるため、清掃とともに点検も実施してみましょう。

固定資産税の軽減措置を利用する

上記でもご紹介したように、固定資産税は条件を満たすことで軽減措置を受けられます。軽減措置を受けるには申告手続きが必要です。申告期限は翌年1月31日までに設定されているため、軽減措置を受けたい場合は早めに手続きを済ませておきましょう。

なお、固定資産税の軽減措置は新築だけでなく、住宅用地の特例や省エネ改修による軽減措置も受けられます。もし将来的にリフォームの必要性も検討している場合は、固定資産税の軽減措置が受けられることを覚えておくとよいでしょう。

保険は比較検討する

火災保険は、各保険会社によって補償内容や保険料が異なります。維持費を安く抑えるのであれば、ある程度の補償が備わっていてなおかつ保険料が安めのところを選ぶとよいでしょう。

また、少しでもお得にしたい場合は長期契約がおすすめです。火災保険の場合、契約期間は1年~10年で設定でき、長期であればその分保険料がお得になることもあります。また、長期契約を一括で支払うと、分割払いよりも安くなる可能性が高いです。

しかし、一括で支払うとなると、まとまった費用が必要となります。もし現在の資金に余裕があり、維持費を少しでも抑えたい場合は長期契約の一括払いを選択してみましょう。

アフターサービスが充実した会社に依頼にする

アフターサービスが充実している会社に施工を依頼すると、長期保証によってメンテナンスを無料で受けることもできます。また、アフターサービスが充実した会社だと、24時間対応のコールセンターを設けているところもあり、暮らしにおける安心感も高まるでしょう。施工会社を選ぶときは、アフターサービスの内容や保証期間、保証の範囲などもチェックしてみてください。

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戸建てを検討する上で、維持費も含めて費用が気になる方は多いでしょう。資金計画として業者と契約をしてから引き渡しまでにどれくらいの費用がかかり、住み始めてからはいくらかかるのかを事前に把握しておくことが大切です。

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まとめ:内訳を理解して、できるだけ維持費を抑えよう!

今回は、戸建てを建てた場合にかかる維持費についてご紹介しました。維持費といっても内訳はかなり細かく、毎月かかるものもあれば一時的に発生する費用もあります。

家を建てる前から維持費についても理解しておくと、今後暮らしてからどのような費用がかかるのかを把握できるため、維持費の節約にもつながるでしょう。ぜひ今回の記事を参考にしつつ、できるだけ維持費を抑えられるよう工夫してみてください。

 

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