間取りの工夫例7選+収納アイデア7選!間取りの決め方のポイントも
マイホームを新築するとき、...
省エネ意識の高まりから、ZEH住宅に注目が集まっています。注文住宅を建てる際、ZEH基準や要件を満たしていれば補助金を利用できるのも魅力です。しかし、そもそもZEHがどのような住宅なのか理解していない方もいるかもしれません。
この記事では、ZEH住宅の定義やメリット・デメリット、補助金制度などについて解説します。ZEH住宅の新築で後悔しないためのポイントもご紹介しているので、家づくりの参考にしてください。
目次
まずはZEHとは何を意味するのか、基本知識として定義や重要な要素について解説します。
ZEH(ゼッチ)とは、「Net Zero Energy House」を略した言葉です。太陽光発電や省エネ設備、断熱材などを利用して暮らしの中で消費するエネルギーよりも生み出すエネルギーを大きくし、エネルギー収支ゼロを目指す住宅を指します。
日本は、天然ガスや石油などの一次エネルギーの多くを輸入に頼っているのが現状です。国内でのエネルギー自給率が低いこと、自然災害時の国内エネルギーの供給を強化するなどの目的として、ZEHは政府によって推進されています。
ZEH住宅は「省エネ」「創エネ」「断熱」の要素で成り立っているのが特徴です。
ZHE住宅では、消費エネルギーよりも生み出すエネルギーを大きくすることが重視されているため、省エネルギー化の工夫が求められます。具体的には、HEMS(ヘムス)と呼ばれる、家庭内の消費電力量や自家発電量などを確認するためのシステムの設置が必要です。
また、エアコンや換気システム、給湯器、照明などの住宅設備も省エネ性能に優れたものを導入することになります。
創エネとは、自然の力を用いてエネルギーを創出することです。ZHE住宅と認められるためには、エネルギーを生み出す仕組みも必要となります。
創エネのために主に設置される機器は、住宅の屋根の上に設置される太陽光発電システムです。つくられた電気は自家消費できる他、蓄電システムを設置すれば電気を溜めておくことも可能です。余った電気は、電力会社に売って利益にすることもできます。
ZHE住宅では、断熱性や気密性に優れた屋根や壁、窓、床などの外皮素材が採用されます。断熱性と気密性が高いと住宅内の温度を一定に保つことが可能です。そのため、外気温の影響を受けにくく、1年中快適に生活できる空間にできます。
一定の室温が保たれることで、冷暖房を使うときも大きなエネルギーを必要としません。エネルギー効率を高め、同時に消費エネルギーの削減につながるメリットがあります。
一戸建ての場合、エネルギーの削減割合によってZHEは3種類に大別されます。それぞれの特徴は以下のとおりです。
ZEHは、再生可能エネルギー等の創エネ設備の導入によって、年間100%以上の一次エネルギー消費量削減を目指す住宅です。ZHEに認定されるためには、断熱と省エネによって20%以上の一次エネルギー消費量を減らすという条件も同時に満たさなければなりません。
寒冷地や低日射地域、多雪地域では創エネが難しく、エネルギー消費量100%以上削減という条件は満たせない可能性があるでしょう。そのような地域で建てられた住宅のために、創エネを含み省エネ率が少し抑えられたNearly ZEHが用意されています。
Nearly ZEHの場合は、創エネ設備による一次エネルギー消費量の削減割合は75%以上です。断熱と省エネによる省エネ率20%以上の条件も満たしていることで、Nearly ZEHと認定されます。
ZEH Orientedは、断熱と省エネにより20%以上の一次エネルギー消費量削減を目指す住宅です。ZEH Orientedでは、再生可能エネルギーの活用が必須ではないという特徴があります。再生可能エネルギー住宅の建築が難しい都市部の狭小地や多雪地域に建てられる住宅が認定の対象です。
ZEH+とNearly ZEH +は、ZEHとNearly ZEHの基準を高めたものとなっています。どちらも創エネ設備の導入による一次エネルギー消費量の削減割合は、ZEHとNearly ZEHの条件と変わりません。
変わったところは、断熱と省エネによるエネルギー消費量の削減割合です。ZEHとNearly ZEHは20%以上の省エネ率であったのに対して、ZEH+とNearly ZEH +では25%以上にアップしています。
それに加えて、断熱性能の強化、HEMSの導入によるエネルギーマネジメント、電気自動車の活用により自家消費の拡大措置のためにある充電設備の設置という3つの要素のうち、2つ以上の要素をクリアしなければなりません。
マイホームをZHE基準で建てることで、さまざまなメリットを得られます。主なメリットは、以下の5つです。
ZHE住宅は断熱性能が高く、また省エネ性に優れた設備が導入されるので、光熱費の削減に期待できます。太陽光発電システムも導入するため、自宅で電気をつくり、使えることも光熱費の削減を手助けする要素です。発電効率のよい立地であれば、消費電力を上回る発電量となってエネルギー収支がプラスになる可能性もあるでしょう。
2021年9月以降、天然ガスや石炭の輸入価格が高騰化している影響で各電力会社の電気料金は値上がりを続けています。その影響で家計が圧迫され、住宅ローンを支払うのが難しくなっている人もいるそうです。ZHE住宅は、一般的な住宅と比較して光熱費を減らすことが可能なため、光熱費が高騰化する中では大きなメリットになるといえます。
太陽光発電システムと一緒に蓄電池を導入すると、発電した電気を溜めて、非常時に使うことが可能です。非常用電源があれば、夜間でも照明を使えます。他にもテレビやラジオ、冷蔵庫、冷房・暖房器具などの家電の使用、スマートフォンの充電ができるので、安心して救助や復旧を待てます。
日本は台風や地震などの災害が多く、いつ停電が起きるかわかりません。だからこそ、災害や停電時も安心して過ごせるZHE住宅はおすすめです。
ZHE住宅は断熱性や気密性に優れているため、外気の影響を受けにくく、年中快適に過ごせます。たとえば、冬になるとリビングや浴室は暖かくても、廊下や脱衣所など暖房が届かない場所は寒いという家もあるでしょう。
高断熱の住宅は部屋ごとの温度差を少なくできます。温度差により血圧が大きく変動することで、血管系や心臓系の疾患が起きるヒートショックのリスクの軽減も可能なので、健康面でのメリットも大きいです。
夏も外からの熱気が入り込みにくいので、冷房の負担が少ない状態で涼しい空間を保てます。
戸建住宅を建てる上で不安になる部分といえば、費用面でしょう。ZHE住宅の場合、環境省・国土交通省・経済産業省が連携して支援事業を行っており、補助金により費用の負担を軽減できます。
ZHE住宅では、一般的な戸建住宅よりも設備機器への投資が大きくなりがちです。それゆえに、予算の都合で諦めかけていた人も補助金の活用によってZHE住宅を建てられる可能性があります。
補助金を受けるためにも、満たす要件や公募期間・完了期間といったスケジュールを確認して家づくりの計画を立てましょう。
さまざまな事情で家を売らなければならなくなったとき、ZHE住宅は一般的な住宅よりも高く売れる可能性があることもメリットです。住宅の省エネ性能を評価する制度にBELSというものがあります。ZHE住宅の省エネ性能はBELSを上回るため、金融機関からの評価は高く、資産価値が高く見積もられる傾向にあるのです。
資産価値が高い住宅は、通常よりも高く売却できる可能性があります。将来売る可能性があれば、資産価値の高いZHE住宅を検討してみるとよいでしょう。
ZHE住宅にはメリットだけではなく、デメリットもあります。家づくりを計画する前に、デメリットになる部分もしっかり把握しておきましょう。
ZHE住宅は、建築費用や設備のメンテナンス費用の負担が大きくなりやすいことがデメリットです。太陽光発電システムや省エネ設備の導入が必要となるので、それなりの設備投資がかかります。また、省エネ設備を長く使いつづけるためには、定期的にメンテナンスしなければならず、そこにも大きなランニングコストがかかってしまいがちです。
しかし、ZHE住宅は一般の住宅に比べて光熱費を削減できる可能性があり、資産価値も高く見積もられやすいメリットがあります。長い目でみれば、省エネ設備にかかるコストを回収することは難しくないでしょう。
ZHE住宅は太陽光発電システムにより自家発電できることが魅力です。ただし、発電量は天候や季節によって変化するので、常に安定した電力を供給できるとは限りません。
太陽光発電は、太陽エネルギーを用いて電力を創出しています。曇りや雨、雪など天候が悪い日は発電量が減ってしまうのです。また、冬場は日照時間が短いため、他の季節と比べて発電量が少なくなる傾向があります。発電量は常に一定ではないことを理解して、設置を検討するようにしましょう。
注文住宅では、家のデザインや間取りを自由に考えることが可能です。しかし、ZHE住宅にする場合は、その自由度が少し下がる可能性があります。
たとえば、太陽光発電システムを導入するためには、屋根に太陽光パネルの設置が必要です。そのため、屋根のデザインが損なわれる可能性があり、外観のデザインにこだわりたい人にはデメリットを感じる部分となってしまいます。
また、ZHE基準の一次エネルギー消費量の削減率を満たそうとすれば、吹き抜けやリビング内階段などの設計も不利になってしまう可能性があるでしょう。デザインや間取りの制限がある中でも、理想に近い家にできるようにしっかり設計していくことが大切です。
ZHE住宅はメリットが多いものの、デメリットもあるので慎重に検討していかなければなりません。ここで、ZHE住宅の建築で後悔しないためにも、4つのポイントをご紹介します。
太陽光発電システムの発電量は地域によっても差が生じます。そのため、アメダスの観測データを参考に、ZHE住宅を建てる地域の日照時間の長さや天候の傾向を確認することが大切です。
日照時間が長かったり、雨が少なかったりする地域であれば、太陽光発電システムの発電量が不足するリスクは低いといえるでしょう。ZHE住宅を建てるのに適した場所と判断できます。
ZHE住宅を建てるのであれば、ZEHビルダーに登録してある住宅メーカーへの依頼がおすすめです。ZEHビルダーは、ZEH住宅の建築を認定されているハウスメーカーや工務店になります。
ZEH住宅では、家のデザインや間取りといった仕様に制限がかかってしまうこともあります。しかし、ZEH住宅に関する知識や建築実績が豊富な住宅メーカーに相談すれば、機能性だけではなく居住性やデザイン面にも考慮して、理想に近い提案を出してくれるかもしれません。実績が多いメーカーであれば、施工の品質も信頼できるでしょう。
ZEH住宅を建てる際は、設備に関する保証制度を用意しているかどうか住宅メーカーに確認してください。省エネや創エネを実現するために導入した設備にはそれぞれ耐用年数がありますが、寿命を迎える前に故障してしまう可能性があります。
たとえば、太陽光パネルは外に設置するものなので、台風や飛来物がぶつかって破損する可能性があるでしょう。そうなると、メンテナンスの時期に関係なく修理や交換といった対応が必要となり、その分のコストが発生します。
設備の保証制度を利用できる場合、保証期間内の故障や不具合に対して無料で修理や交換をしてもらえるので、万が一のときも安心です。
ZEH住宅を建てる際は、実際に住宅を見学して理想のイメージをしっかり固めることも大切です。家を見学する方法には、住宅展示場や完成見学会などがあります。
なかなか時間が取れないときは「LIVRA WORLD」の利用がおすすめです。LIVRA WORLDは、オンライン上でモデルハウスの見学ができるサービスとなっています。ただモデルハウスを見学するだけではなく、モデルハウスをカスタマイズして家のシミュレーションも可能です。
また、どれくらいの価格で家を建てられるのか、価格をシミュレーションすることもできます。建築費用のイメージをつかみたいときにも便利です。
ZHE基準を満たした家を建てる場合、補助金を利用することが可能です。補助金は4種類あるので、それぞれの詳細を紹介します。
※なお、以下の補助金の情報は2023年3月時点の情報です。補助額は年度ごとに変更される可能性があるため、あくまでも参考と考えてください。
ZEH・Nearly ZEH・ZEH Orientedの住宅の場合、環境省の「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH) 化等支援事業」の補助金を受けられます。補助額は1戸あたり定額55万円です。蓄電システムを導入する場合は2万円/kwh、または補助金対象経費の1/3か20万円のいずれか低い金額の追加補助を受けられます。
また、国土交通省の「こどもエコすまい支援事業」と「地域型住宅グリーン化事業」の補助金を利用することも可能です。「こどもエコすまい支援事業」は注文・新築分譲のZEH住宅を対象としており、補助額は1戸あたり100万円となっています。「地域型住宅グリーン化事業」は、中小工務店などが建築する木造のZEH住宅が対象で、補助額は1戸あたり140万円が上限です。
ZEH+やNearly ZEH+では、環境省の「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH) 化等支援事業」の補助金を利用できます。補助額は1戸あたり100万円です。
ZEH+やNearly ZEH+は、ZHEやNearly ZEHよりも高性能設備の導入が必要となるので、補助金の利用は大きな負担軽減につながります。
注文住宅でZEH+を立てる場合は、環境省の「次世代ZEH+実証事業」の補助金を利用することが可能です。補助額は1戸あたり定額100万円となっています。
補助金を受けるためにはZEH+やNearly ZEH+の要件を満たした上で、V2H設備である・蓄電システム・燃料電池・太陽熱利用温水システムの設備をいずれか1つ導入しなければなりません。また、導入した設備によって以下の追加補助を受けることが可能です。
こちらは注文住宅に限定されるため、新築住宅を建築する場合はZEH支援事業(ZEH+)の補助金を利用しましょう。
注文住宅でZEH+やNearly ZEH+を建てる場合、特定の要件を満たしていれば経済産業省の「次世代HEMS実証事業」の補助金を受けられます。補助額は1戸あたり定額112万円です。
補助金を受けるためには、注文住宅でZEH+やNearlyZEH+を建てること以外に、以下の要件を満たしている必要があります。
補助金を受けるためには、各制度で定められた要件を満たさなければなりません。それに加えて、ZHEビルダーやZHEプランナーに登録している住宅メーカー・建築事務所などに依頼してZHE住宅を建てないと、補助金の対象にならないので注意してください。
また、補助金の利用を前提にZHE住宅を設計する場合、エネルギー消費量や断熱効果などが細かく計算されてプランニングされています。そのため、補助金申請後は内容どおりに家を建てる必要があるため、間取りや設備の変更ができない点にも注意しましょう。
他にも、各制度の補助金額は年度ごとに変わる可能性があるので、最新情報をよくチェックしておくことが大切です。
省エネ性能や高断熱に優れたZHE住宅は、環境に優しく、快適に暮らせる住まいとして注目されています。光熱費の高騰が続いているため、出費を減らせる可能性があるZHE住宅は需要がますます高まるでしょう。
ZHE住宅は設備投資が必要となるので、建築費用が高くなりやすい点がデメリットの1つです。しかし、国も普及促進を推進していることから補助金が充実しており、建築のハードルは下がっているといえます。省エネ住宅を検討している方は、ぜひZHE住宅の建築を検討してみてはいかがでしょうか。