注文住宅で地下室をつくるメリット・デメリット|失敗の回避策も紹介

家づくり
注文住宅で地下室をつくるメリット・デメリット|失敗の回避策も紹介

注文住宅は自分のこだわりを詰め込めることから、一般的な住宅にはあまり見られない「地下室」をつくりたいと考える人もいるでしょう。地下室は外から見えず、完全なプライベート空間となるため、まるで秘密基地のような雰囲気を楽しめます。

ただし、地下室にはメリットだけでなくデメリットも存在するため、導入を検討する際は慎重に行いましょう。今回は、注文住宅において地下室を取り入れることのメリット・デメリットを紹介します。また、地下室をうまく活用するためのポイントも提案しているので、地下室の導入を検討している方は参考にしてみてください。

:地下室とはどのような部屋?

床から天井までの高さのうち3分の1以上が平均地盤面よりも下に位置する部屋を地下室と呼びます。通常、地上階が木造で建築されていても、地下室は主に鉄筋コンクリート(RC)造でつくられます。鉄筋コンクリート造は、木造に比べて気密性や遮音性、耐火性に優れているのが特徴です。

また、地下室の用途は住宅として指定されており、事務所や店舗、駐車場としての使用はできません。そのため、地下室はプライベートな空間や趣味の場所として活用されることが一般的です。たとえば、遮音性が高いためホームシアターやカラオケルームを設置したり、温度を一定に保ちやすい性質を活かしてワインセラーを設置したりします。

地下室は、家族や友人とのくつろぎの空間や、自分の好きな趣味に没頭するための場所として、人々にとって魅力的な選択肢となっているのです。その利点を活かしながら、快適で楽しい地下室の活用を考えてみましょう。

地下室でできること

地下室でできることは幅広く、さまざまな用途が考えられます。どのようなことができるのか、具体例を挙げていきましょう。

  • シアタールーム
  • カラオケ
  • 音楽スタジオ
  • ワインセラー
  • トレーニング
  • 書斎・仕事部屋
  • ゲーム実況部屋
  • ゲストルーム
  • DIYや絵画制作などの作業部屋
  • コレクションルーム
  • 食品や生活品などの収納スペース など

人によって地下室の楽しみ方は異なります。地下室を導入する前にどのように使ってみたいか考えてみましょう。

注文住宅で地下室のある家をつくる6つのメリット

注文住宅で地下室をつくることで、さまざまなメリットを得られるでしょう。ここでは、以下の6つのメリットをピックアップして解説します。

  • 容積率の緩和によってゆとりのある住空間にできる
  • 耐震性の高い家にできる
  • 災害時に地下シェルターとして活用できる
  • 気温・湿度が安定した部屋にできる
  • 防音・遮音性が高いので音を出しても安心
  • 振動や衝撃が伝わりにくいから子どもの遊び場に最適

それぞれ詳しく見ていきましょう。

容積率の緩和によってゆとりのある住空間にできる

土地には容積率という制約があり、建物の延床面積は敷地面積に対して制限が設けられています。たとえば、容積率が70%の土地では、敷地面積100平方メートルに対して最大70平方メートルの建物を建てられるのです。狭小地の場合は、さらに建てられる延床面積が限定されるため、自宅が狭く感じられることもあります。

しかし、地下室の場合は条件が異なります。住宅用の建物であり、地階の天井が地面から1m以下にあるという条件を満たす場合、延床面積の制限が3分の1まで緩和されるのです。そのため、狭小な敷地でも広々とした住空間を実現できます。

耐震性の高い家にできる

地下室は地震の影響を受けやすいと思われることがあります。しかし、実際には地下に位置することで地震と共に揺れるため、地震の影響は軽減されます。さらに、地下室があることで地上階の支持力も強化され、建物全体の耐震性が向上するのです。

そもそも地下室は常に土や水からの圧力にさらされています。地震による揺れは、通常受けているそれらの圧力に比べてそれほど大きな負荷ではありません。そのため、地下室は地震の影響を受けやすいというよりも、むしろ地震時に安定性を保つ役割を果たしているのです。

地下室は建物全体の構造を補完し、地震などの自然災害に対しても安定性を提供します。安心して利用できる地下室は、住まいの魅力となる要素のひとつといえるでしょう。

災害時に地下シェルターとして活用できる

地下室は耐震性の高さがひとつのメリットとなっていることから、災害時には地下シェルターとしても活用できます。大きな地震が発生すると、余震がしばらく続くことがありますが、地下室では揺れの影響が軽減されるため、地震に対する恐怖心や不安感を少しでも和らげられるでしょう。

さらに、地下室に食料品や生活品を備蓄しておくことで、災害が発生した場合でも数日間は生活を維持できます。万が一の備えとして、地下室が提供してくれる安心感は計り知れないでしょう。

気温・湿度が安定した部屋にできる

地下室は、気密性が高いために地上階と比べて気温や湿度が安定しているというメリットもあります。地上階だと夏には30℃を超える暑さになり、冬には一桁台まで温度が下がってしまうことも多々あるでしょう。また、梅雨の時期には湿度が高くジメジメとした状態が続きます。

しかし、地下室は建築基準法によって換気や調湿の設備が義務付けられているため、1年を通じて気温や湿度が一定に保たれます。このため、温度管理が重要なワインセラーなどにも適しているのです。

地下室の気密性は、居住空間において快適さを提供する重要な要素です。一定の温度と湿度が保たれることで、より快適な環境を実現できます。

防音・遮音性が高いので音を出しても安心

地下室は周囲が地面に囲まれていることと気密性の高さから、防音・遮音性の高い空間となっています。普段は「近所の人に迷惑をかけてしまうかもしれない」という理由で制限していたことも、地下室なら実現できるのです。

たとえば、大音量で映画を楽しんだり、ダンスを踊ったり、カラオケや楽器演奏なども可能です。さらに、周囲の雑音が聞こえてくることもないため、静かな空間で読書や作業を楽しみたい場合にも最適でしょう。地下室の遮音性の高さは、プライバシーを守りながら自由に過ごせる環境を提供してくれます。

振動や衝撃が伝わりにくいから子どもの遊び場に最適

子ども部屋を2階に設置すると、遊んでいるときの振動や衝撃が1階まで響くことがあります。とくに来客があったとき、その振動や衝撃が気になる方もいらっしゃるでしょう。また、子どもに静かに遊ぶようにいってもなかなかうまくいかないこともあります。

こうした場合には地下室の利用が便利です。地下室で遊んでいても、その振動や衝撃はほとんど1階に伝わりません。これにより、子どもたちは「静かにしなきゃいけない」というストレスから解放され、思い切り楽しく遊べるのです。

注文住宅で地下室のある家をつくる際の4つのデメリット

注文住宅に地下室があることでさまざまなメリットがある一方、以下のようなデメリットが生じてしまうこともあります。

  • 土地選びが重要になる
  • 夏は結露が発生しやすい
  • 浸水対策が必要
  • 建築費用が高くなりやすい

それぞれ詳しく解説します。

土地選びが重要になる

地下室を備えた注文住宅を計画している場合は、土地の選び方も非常に重要です。地下室は地盤の影響を大きく受けてしまうことから、どこにでもつくれるわけではありません。そのため、地下室を備えた注文住宅を計画している場合は、土地の選び方も非常に重要です。

たとえば、地盤近くに水脈があり、深く掘削すると水が湧き出てくるような場所では、地下室をつくることが難しくなります。また、すでに道路の拡張や新設が計画されているような土地では、コンクリートの施工に制約があるため、地下室をつくれないこともあるのです。

土地を選ぶ際には、地下室を建てることが可能な土地を探している旨を不動産会社などに伝えておくと安心でしょう。こうした配慮をすることで、理想の地下室を備えた住宅を実現できます。

夏は結露が発生しやすい

夏になると地上の表面は暑くなりますが、地下は比較的一定の温度を保てるため、温度差が生じます。この温度差のため、地下室では結露が発生しやすい状態となるのです。

さらに、地下室がコンクリート造りの場合、水分が完全に抜けるまでには時間がかかります。水分が適切に排出されていないと、湿気が残り、不快感を覚えるかもしれません。結露や湿気対策するには、除湿器を使用するか、外気が室内に入り込まないように工夫することが重要です。これによって、快適な地下室環境が実現できます。

浸水対策が必要

地震などの災害には強い地下室ですが、台風や集中豪雨の際には浸水のリスクがあります。地下にトイレがある場合、下水が逆流してくる可能性もあります。また、道路からの雨水の流入により、ドアが開きにくくなり、地下室に閉じ込められる危険性もあるのです。

地下室を浸水から守るためには、逆流防止弁付きポンプ施設の設置や土のう・水のうによる対策を事前に行うことが重要です。これにより、浸水被害を最小限に抑えられます。安心して地下室を利用するためには、あらかじめ適切な対策を講じることが必要です。

建築費用が高くなりやすい

地下室を建てる場合、建築費用が高くなることもデメリットです。地下室の建築には、土地の調査から掘削作業、配筋、コンクリートの打設など、多くの工程が必要です。そのため、通常の注文住宅よりも建築費用が高くなる傾向があります。

地下室を単純に1部屋増やすだけではなく、さまざまな工程や設備が必要となるため、価格が上がってしまうのです。地下室を実現するための予算や実際の広さなど、具体的な部分については、建築会社とよく相談して決めることが重要です。

地下室のある家をつくるときの費用相場

デメリットでも述べたように、地下室をつくることによって建築費用が高くなってしまいます。では、具体的にどれくらいの費用でつくれるのでしょうか。地下室の施工費用の内訳は、以下のとおりです。

施工内容 費用相場
地盤調査 約30万円
構造計算費 約20万~30万円
設計費 約30万~80万円
山留工事費 約200万円
掘削工事費 約200万円
防水工事 約80万円
各種設備工事 約100万円

あくまでも目安であり、部屋の広さによっても値段は異なりますが、地下室の坪単価は約50万〜200万円となります。

さらに、地下室を所有すると固定資産税も高くなる傾向があります。固定資産税は、構造や地域、面積などの要素に基づいて評価され、税額が決まるのです。地下室は鉄筋コンクリート造となるため、地上階の木造建築と比べて評価額が上がり、固定資産税も高くなることがあります。

また、地下室の建築費用や予算を検討する際には、建築後のランニングコストも考慮に入れておくことが重要です。

地下室づくりの失敗を防ぐためのポイント

高額な建築費用がかかる地下室だからこそ、失敗はしたくないものです。では、どのような注意点に気を付けると失敗を避けられるのでしょうか。ここからは、地下室づくりの失敗を防ぐポイントについて解説します。

地下室のタイプを理解して用途に合わせて選ぶ

地下室は主に3つのタイプがあり、それぞれ工法や工期、費用などが異なります。後悔しないためにも地下室のタイプについて理解し、自身の用途に合わせて選びましょう。

防音・断熱性に優れた全地下タイプ

部屋全体が地中に埋まっており、他のタイプよりも高い防音・断熱性能を誇ります。部屋がすべて地中にあることで室温が一定に保たれやすく、1年を通して安定した温度環境を維持できるのが特徴です。

ただし、窓を設置できないため光や風などが入らず、湿気にも弱い傾向にあるため換気システムや空調設備が必須です。設備を充実させる必要があることから、その分建築費用も高額になってしまいます。

採光や通気性を確保できる半地下タイプ

半地下タイプは部屋の3分の1以上が地面に埋まっており、残りは地表に出ています。地表に出ている部分には窓を設置できるため、全地下タイプとは異なり光や風を取り入れることも可能です。また、掘削量が減ることで全地下タイプよりも費用を安く抑えられます。

デメリットは、地表に出ている部分の防音・断熱性能が低下してしまう点です。

リビングや寝室に利用しやすいドライエリアタイプ

ドライエリアとは、住まいの周りの地面を掘ってできたスペースです。空堀(からぼり)とも呼ばれており、地下室の床まで掘る場合や浅めに掘って高窓などを設置する場合もあります。

ドライエリアでは、地下室に加えて中庭をつくることも可能であり、半地下タイプに比べて大きな窓も設置できます。ただし、雨水の排水ポンプなどの対策が必要となる場合があり、建築費用も一定のコストがかかってしまうというデメリットもあるので注意が必要です。

地下室に適した土地を選ぶ

地下室を設置したいという前提で注文住宅を建てる場合は、土地選びの段階で地下室を考慮する必要があります。

土地を選ぶ際のポイントは、地盤が安定していること、近くに水脈がないこと、道路の拡張・新設工事が行われる予定がないことです。埋立地や造成地などは地盤が不安定な場合があるため、地下室の設置には適していません。土地を選ぶ際には、こうした条件を不動産会社に伝えておくことが重要です。

また、すでに土地を所有している場合は、ボーリング調査やスウェーデン式サウンディング試験などの地盤調査を行い、地下室を建てられるかを確認する必要があります。もし地盤が軟弱であれば、地盤改良工事も検討する必要があります。

換気や採光など快適性を保つ設備を導入する

地下室を快適で居心地のよい空間にするためには、換気、空調、除湿などの設備をしっかりと整えることも重要です。とくに全地下タイプでは窓を設置できないため、高性能な設備の導入をおすすめします。

もし地下室に自然光を取り入れたい場合は、半地下タイプやドライエリアがおすすめです。これらのタイプでは窓を設置できるため、十分な採光と通風性を確保できます。

避難経路を確保する

地下室では、避難経路を設けることが義務付けられています。たとえ1階につながる階段がある場合でも、火事などの緊急時にその階段が使用できなくなる可能性もあるでしょう。

そのようなリスクを回避するために全地下タイプや半地下タイプでは、家の中に通じる階段とは別の避難経路を確保しなければなりません。また、ドライエリアタイプでは、中庭から外に出られるように階段を設置しておくと安心です。

地下室づくりが得意のハウスメーカー・工務店に依頼する

地下室を備えた注文住宅を建てる場合、ハウスメーカーや工務店の選択も非常に重要です。これまで地下室をつくったことがない業者に相談するよりも、実績のあるところに依頼した方が安心でしょう。

業者が地下室づくりを得意としているか、これまでに実績を持っているかは、ホームページなどで確認できます。もしわからない場合は、直接問い合わせて確認してみることもおすすめです。

理想の注文住宅づくりに役立つ「バーチャル住宅展示場」

地下室を含め理想の注文住宅をつくるためには、まずどのような家にしたいのか具体的なイメージをつかむことも重要です。とくに注文住宅は建売住宅・中古住宅などと異なり、間取りなどを一から自由に設計できるため、ある程度イメージが出来上がっていないと施工業者へ相談した際にどうすればいいか迷ってしまう場面も出てきてしまいます。

そこで、理想の注文住宅を具体化するために、「バーチャル住宅展示場」を活用しましょう。「LIVRA WORLD」はインターネットから自由にアクセスできるバーチャル住宅展示場です。モデルハウスは自由にカスタマイズすることも可能で、自分のこだわりを詰め込んだ家づくりがシミュレーションできます。 

また、価格のシミュレーションや商談・イベントの予約なども簡単に行えます。スマホやタブレットから自由に閲覧できるため、地下室のある注文住宅づくりの際には「LIVRA WORLD」を活用しましょう。

まとめ:メリット・デメリットを知って地下室のある家を考えよう

注文住宅で地下室をつくると温度が一定に保てたり、防音性能が高かったりするなど、さまざまなメリットがあります。しかし、その一方で建築費用がかかりやすく、浸水・結露の対策も必須です。 

あらためて地下室のメリット・デメリットを知った上で、理想の注文住宅に地下室は必要かきちんと検討すると失敗も防ぎやすくなるでしょう。また、地下室づくりにおいて間取りや広さなど具体的にイメージすることも大切です。理想の住空間をつくる際にはぜひ「LIVRA WORLD」のバーチャル住宅展示場を活用してください。

地下室は、温度の一定性や高い防音性能など、さまざまなメリットがあります。ただし、建築費用が高くなりやすく、浸水や結露に対する対策も必要です。

地下室のメリットとデメリットを再確認した上で、理想の注文住宅に地下室が必要かどうかを慎重に検討することで、失敗を防げます。また、具体的な間取りや広さをイメージすることも重要です。理想の住空間を実現するために、「LIVRA WORLD」のバーチャル住宅展示場を積極的に活用しましょう。



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