木造建築のメリット・デメリット|木造の寿命や耐震性についても解説

家づくり
木造建築のメリット・デメリット|木造の寿命や耐震性についても解説

昨今では、さまざまなメリットを考え、鉄骨造や鉄筋コンクリート造で住居を建築するケースが増えています。しかし、木造建築の住宅にも多くのメリットがあるため、選択肢から外してしまうのは非常にもったいないといえるでしょう。

そこで今回は、木造建築のメリットやデメリットを踏まえ、木造建築の特徴について詳しく紹介します。

木造の注文住宅をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

木造建築とは?

木造建築とは、主に木で住まいを建てることであり、土台や壁、柱など建物の強度を支える部分に木材を使用します。

昨今では、木造建築以外にも「鉄骨」や「鉄筋コンクリート」などの建築方法がありますが、いまだ9割以上は木造建築です。

木造建築で使用する木材には、杉やヒノキが使用されることが多く、素材の香りに魅力を感じる方も多いでしょう。

木造建築の工法は、主に従来の伝統的な工法である「木造軸組工法(在来工法)」とアメリカ式の工法である「ツーバイフォー(2×4)工法」の2つがあります。同じ木造建築でも、それぞれの工法によって特徴が異なるため、住居によって適切な工法の選択が必要です。

 木造建築の寿命

木造建築によって建てられた住まいは、長い年月が経てば経つほど劣化が進み、定期的にメンテナンスを行っていたとしてもいずれは寿命が訪れます。

また、建物には寿命のほかにも「耐用年数」というものが定められており、主な耐用年数や寿命との違いは以下のとおりです。

耐用年数と寿命は違う

木造住宅の中には、築50年、60年を過ぎているものもありますが、一般的な木造住宅の寿命は「30年」ほどとされています。

また、建物の「寿命」とは、住居が安心かつ住みやすい状態を保てる期間のことであり、建物や設備の劣化だけでなく、ライフスタイルの変化による修繕やリフォームも対象です。

たとえば、以下のようなケースが挙げられます。

  • 子どもが独立して夫婦2人で住むようになったためリフォームが必要
  • 水回りの破損やサビが悪化
  • 壁のひび割れや破損
  • 屋根の雨漏り
  • 塗装の剥がれ

上記以外にも建物の寿命を左右する要因があり、使用する塗料や木材の種類も大きな要因のひとつです。

対して「耐用年数」とは、建物のような固定資産が本来期待されている役割を果たしきる期間のことであり、木造や鉄骨造、鉄筋コンクリート造などによって耐用年数は異なります。

木造住宅の耐用年数は22年

耐用年数には「法定耐用年数」「期待耐用年数」「物理的耐用年数」「経済的耐用年数」の4種類あります。

木造住宅の場合は、耐用年数は「22年」とされており、鉄筋コンクリートの「47年」に比べると半分にもおよびません。しかし、耐用年数=寿命ではないため、22年経つと住めなくなるわけではない点には注意が必要です。

 2. 木造建築の耐震性

世界の国々の中でも地震が頻繁に起こりやすい日本では、住居の耐震性は欠かせません。

日本では、国が建物の耐震性に関する基準を設けており、主な基準は1981年に定められた「新耐震基準」と2000年に改正された「建築基準法」です。

新耐震基準によって、「震度5程度でも建物が倒壊しない」という基準から「震度6~7程度の揺れでも倒壊しない」という基準に変更されました。さらに2000年に建築基準法が改正されたことによって、より厳しい耐震基準が設けられています。

一般的に、木造は鉄筋コンクリートと比較すると、耐震性に劣っているというイメージが強いです。しかし、木造住宅でも震度6強~7程度の地震で倒壊や崩壊しないように建築されているため、一定以上の耐震性があるといえるでしょう。

 木造建築の建築工法

木造建築の建築工法は「木造軸組工法」「ツーバイフォー」「木造ラーメン工法」に分けられ、それぞれの特徴や適した場面は以下のとおりです。

木造軸組工法

木造軸組工法とは、柱と梁を組み合わせて枠組みをつくった部分に屋根や壁を取り付ける工法です。

木造軸組工法は日本で最も多く用いられる工法であり、壁ではなく軸組みで支えます。そのため、壁を設ける場所の選択肢が幅広く、さまざまな間取りや設計に対応しやすい点が主なメリットです。

住居に大きな窓を設置したい方には「木造軸組工法」をおすすめします。

ツーバイフォー(2×4)工法

ツーバイフォー工法は、建築基準法上では「枠組壁工法」と呼ばれており、床や壁などの面で建物を支える面構造を用いた工法です。

約2インチ×約4インチ材を主な構造材としていることから「ツーバイフォー(2×4)」とされています。

木造軸組工法に比べて間取りの自由度は低くなりますが、耐震性が高くなるだけでなく工期も短縮できるため、短期間での建築を希望する方にもおすすめです。

木造ラーメン工法

木造ラーメン工法は、もともと鉄筋コンクリート構造などの大規模な建物で採用されていた工法ですが、耐震性に注目が集まっている昨今では、注文住宅のような一戸建ての住居にも活用されています。

ラーメンとは、ドイツ語の「フレーム」や「額縁」を指し、柱と梁を中心に建物を支える工法であり、接合部分がしっかりと固定されている構造体のため、耐震性の高さが特徴です。

 木造建築以外の建築工法

建築工法は、木造建築のほかにも「鉄骨造」や「鉄筋コンクリート造」があります。

それぞれ木造とは違ったメリットやデメリットがあり、主な特徴は以下のとおりです。

鉄骨造

鉄骨造は、別名「S造」と呼ばれ、構造材料に鉄骨を用いて建築する工法です。

使用する構造材料は主に「軽量鉄骨」と「重量鉄骨」があり、それぞれ厚みによって分けられます。

鉄骨造は耐震性や耐久性に優れ、木材に比べて建物の劣化や腐食が起こりにくいこともあり、一般的に一戸建ての住宅では軽量鉄骨が使用されることが多いです。

鉄筋コンクリート造

鉄筋コンクリート造は、コンクリートに鉄筋を埋め込んだ部材を柱や梁などの主要構造部に使用して建築する工法です。

「Reinforced Concrete」を略して「RC造」と呼ばれることもあり、マンションなどの中高層住宅で多く使用されています。

鉄筋コンクリート造は、気密性の高さや耐震性の高さが主なメリットですが、費用面が高くなりやすいという点がデメリットになりがちです。

 木造建築のメリット

昨今では、鉄骨や鉄筋コンクリート造で建築される建物が増えていますが、木造建築で建築する際にもさまざまなメリットがあります。

主なメリットは以下のとおりです。

費用を安く抑えられる

木造建築の代表的なメリットは、建築コストを抑えやすいという点が挙げられます。

引用:国税庁公式サイト「地域別・構造別の工事費用表(1m2当たり)【令和5年分用】」

上記は、国税庁が構造別の工事費用における1平方メートルあたりの単価について公表している表です。

この表からもわかるように、鉄骨造や鉄筋コンクリート造など3つの鉄骨系の構造に比べて、木造は圧倒的に単価が安く、建築費用の安さが顕著に現れています。

調湿効果がある

快適な住まいを実現するためには湿度調整が欠かせません。木材には、周囲の湿度に合わせて水分を吸収したり放出したりする性質があります。

梅雨などの湿気が多い気候になりやすい時期には水分を取り込み、冬などの乾燥しやすい時期には水分を放出してくれるのです。

とくに、日本は四季ごとに気温や湿度の変化が激しいため、人が手を加えなくても建材が自然に湿度を調整してくれるのは大きなメリットといえるでしょう。

耐火性がある

「木材=燃えやすい」というイメージを持たれている方も多いでしょう。しかし、イメージとは裏腹に木材というのは高い耐火性を備えているのです。

たとえ火災が起きたとしても、表面が炭化して内部まで燃え進むまでにはかなり時間がかかります。しかし、時間が経てば火は進行してしまうため、さらに燃えにくくするためにハウスメーカーや工務店がさまざまな工夫をしています。

デザインの自由度が高い

木造建築の中でも木造軸組工法は、とくにデザインの自由度が高く、自分が理想としている間取りや空間の実現がしやすいです。

また、家族のライフステージに合わせてリノベーションもしやすいため、そのような予定がある場合は、注文住宅のマイホームづくりはおすすめといえるでしょう。

断熱性がある

木造住宅の素材として多く使用されているブナ・杉・ヒノキなどの木材は、鉄やコンクリートに比べると断熱性が高いです。

しかし、いかに断熱性が高いといっても、壁や天井など建物のわずかな隙間から空気は出入りします。そのため、理想の家づくりをするためには、少しでも質の高い建築部材や断熱材の使用が必要不可欠であることには注意しておきましょう。

 木造建築のデメリット

木造建築はさまざまなメリットがある反面、デメリットも伴います。

主なデメリットは以下のとおりです。

品質にばらつきが生じる可能性がある

木造建築の主なデメリットは、品質のばらつきです。

木材の品質は、管理方法や加工する際の職人の力量に大きく影響しやすいため、適当に管理された材料では長い期間住居に住んでいると劣化してしまいます。

マイホームの家づくりで失敗しないために、品質が担保された信用できる不動産会社や施工会社を選択しましょう。

シロアリ対策する必要がある

天然の木材を使用して建築する際には、シロアリや害虫対策が欠かせません。

シロアリや害虫対策は家を建てた時だけでなく、定期的に行う必要があります。施工会社によっては検査や薬剤散布なども対応してくれるため、事前に確認しておきましょう。

他の工法と比べて多くの柱と壁が必要

木造建築の場合、構造上取り除けない柱や梁があるため、設計に制限がかかってしまうケースがあります。

鉄骨造住宅と比べると、広いリビングや壁一面に窓を設置するなどの特殊な施工が実現しにくくなってしまうでしょう。

他の工法と比べて耐震性が劣る

昨今の建築基準法の改正により、震度6強~7程度でも倒壊や崩壊する恐れがないとはいえ、鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べると耐震性が劣るのも事実です。

そのため、木造建築では天井の四隅などに梁を斜めにかけることで、耐久性を高める工夫がされています。しかし、木造建築で耐震性を高める際は、建築コストの増加や工期が伸びる可能性があるため、注意が必要です。

他の工法と比べて防音性が劣る

木造建築の場合、鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べて遮音性が低く、音が漏れやすいです。

そのため、家の外に音が漏れたり、外の音が家の中に入ったりする可能性があります。

もし、音漏れが気になる場合は、床や壁などを2重構造にするとよいでしょう。

 木造住宅建築で失敗しないためのポイント

木造住宅におけるさまざまなデメリットについて紹介しましたが、次は木造住宅で失敗しないためのポイントについて紹介します。

木造住宅で失敗しないためには、以下の2つのポイントに気をつけましょう。

木造建築が得意な会社に依頼する

木材は天然の素材であり、一つひとつの素材ごとに形や特性が異なるため、管理や取り扱いには細心の注意を払わなければいけません。

そのため、木材建築の特徴やメリットやデメリット、注意点について熟知している施工会社に依頼することで、高品質な住宅を建築してくれるでしょう。

建築を依頼する会社は、実績や評判などを確認し、慎重に選択するようにしてください。

あらかじめ木の特性を把握しておく

木材には、調湿の性質が備わっていることで、時期ごとの湿度によって状態が変化します。また、無垢材は傷つきやすい反面、時間が経てば経つほど艶が出て木材ならではの味が出てくる点が特徴です。

このような木の特性を事前に把握しておくことで、現実的かつ理想的なマイホーム造りが実現しやすくなります。

バーチャル住宅展示場を利用して木造住宅を具体的にイメージしてみよう

注文住宅は自由度が高い点がメリットですが、木造住宅のメリットやデメリットも踏まえるとなると、事前に明確なイメージを想像しておく必要があります。

少しでも家づくりで失敗を防ぐためには、バーチャル空間で住宅のイメージができる「LIVRA WORLD」の活用がおすすめです。

従来では、住宅のイメージを湧かせるために住宅展示場へ足を運ぶ必要がありました。しかし、「LIVRA WORLD」はスマホやタブレットを活用し、オンラインで理想の家のシミュレーションが可能です。

そのため、わざわざ足を運ばずに自宅で簡単に住居を見学できるだけでなく、価格シミュレーションも行えるため、より簡単かつ明確にイメージを膨らませられるでしょう。

まとめ:メリットもデメリットも理解したうえで、長く住める木造住宅を建てよう!

今回は、注文住宅での家づくりにおいて、木造住宅を建てる際のメリットに焦点を当てて紹介しました。

昨今では、鉄骨造や鉄筋コンクリート造が増えている反面、木造建築で住宅を建てる際のメリットも多々あります。

木造住宅で理想の家づくりを実現させるには、事前に把握すべきメリット・デメリットや注意点があるため、しっかりと住宅のイメージを想定したうえで、信頼できる会社へ依頼をしましょう。



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